第33話

さんじゅう
1,275
2021/04/26 12:00






彼方「……昨日、なにした?」




話し合う気はさらさら無いかのように、そう聞きたいことをそのまんま聞いた




赤葦「……、あなた」




彼方「…彼方なんですけど」



………あれ…?


…俺の名前知ってるのは…、北さんと治だけじゃ…





赤葦「…やっぱり知らないんだ」





彼方「…"知らない"…?どういうこと…どこかで会ったんか…?」




赤葦「この際だから全部話そうか?」


コクリと頷き、私はただひたすらに、赤葦の話を聞くのに全ての五感を集中していた




赤葦「…簡単に言うと、俺達は…付き合う予定…かな。」




彼方「は?」






心の声とつい口にでた言葉が一致した



意味が分からない


自然と頭に過ったのは、ばぁちゃんの顔




呆れられて、見放されて、私のことなんか頭の隅にも置かれていないと思っていた




赤葦は……、頭も良さそう。まぁまぁの高身長。顔が良い。運動神経良い




ばぁちゃんだったらこのハイスペックを見逃さないだろう


見た目に伴って、礼儀も正しいみたいだし




赤葦「あなたのお祖母さんと母さんが知り合いで、」




赤葦は、スパッと物事を言う




赤葦「でも、嫌なんでしょ?」




彼方「…どーせ…政略結婚の下位互換。好きだなんて感情はないんやろ…断れよ。俺に拒否権はないんだから、そっちが断ってくれた方が助かる」



赤葦「…じゃあ……、本当に好きだって言ったら、あなたはどうする?」





彼方「そんな冗談要らん」




赤葦「冗談じゃない。昨日、キスしたの忘れた?好きでもない相手にキスなんかしないから」




真剣な表情でこちらを見つめる


目が逸らせなくて、いや、逸らしてはいけない気がして

目を逸らさなかった






彼方「…俺は__……………、女になりたくない…から。嫌だ」





赤葦「…そっか。……じゃあ。まだチャンスはありそうだね」




私の言葉をポジティブに受け取って、赤葦は木兎さんがいる体育館へ向かっていった
















彼方「…………っ、…意味分かんねぇ…っ」




頭が混乱する







ばぁちゃんはまだ俺のことを「女」にしようとしているのか













彼方「助けて…………。」


俺は絞り出すようにそう言った



だが、その言葉は外の暴風によって、遮られてしまった



































あぁ、俺を助けてくれる人はいないのか



俺が檻に入るまで…あと何日持つかな……