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第4話

拒否権なんてない、知ってる
絵里が突然言い出したことは、みんな、やる。
絵里
明日さ、学校にイヤリングしてこーよ笑
絵里はいつもいたずらをしたがり、私たちを巻き添えにする。でも、イヤリングをつけてくるのは、いたずらではない…。
自分
え、先生に怒られてもいいの~??笑
一応、正気かどうかを確かめる。でも本気で言うとまずい、笑いを含めて言う。絵里は、にかっと笑ってうなずいた。
絵里
先生。弱いから、だいじょーぶだって。私たちの権力見せつけてやろ!
冗談っぽく言うけど、本気なのだ。私は知ってる。いつも、こんな風にいたずらをする。でも絵里は、先生に怖がられているから、怒られないのだ。
絵里の取り巻き
えり、それめっちゃ良き!
絵里の取り巻き
絵里がいれば、なにしても大丈夫だもんね!
取り巻きたちは口々に絵里を誉めつつ、肯定している。
でも、この学校は、そういうことには厳しい。ネイルもダメ、髪巻くのもダメ、校内でスマホもダメなのだ。もちろんイヤリングなんて、とんでもない。なぜ絵里はこの学校に入ったのだろうと、いつも疑問に思う。
しかし、不思議だ。いつもなら、黒板消しをドアのところに仕掛けるだとか、放課後に花瓶を割っておくとか、それくらいの悪さしかしないのに、校則違反は珍しい。珍しいと言うか、初めてだ。
自分
私、イヤリングあるかなぁ…
校則違反をすると、厳しいこの学校は、親に連絡をする。私の親は校則には厳しい人だ。ばれたら本当にまずいかもしれない。軽い感じで言ってみた。
絵里の取り巻き
えー、何言ってるの
絵里の取り巻き
前買ったじゃん。忘れたの?笑
最近気付き始めた。というか、結構前から。私は、この絵里の取り巻きたちに歓迎されてないんだ。だから、これ以上嫌われないようにしなきゃいけない。
そんなことより。忘れていた。絵里たちとイヤリングをお揃いで買ったんだ。その事を覚えていれば、あんなこと言わなかった。
自分
そうだ!私バカだー笑
絵里の取り巻き
うけるー笑
絵里
でも忘れちゃうよね?イヤリング買ったあといっぱいもの買ったもん。ねー♡
絵里だけは失っちゃいけない。そう確信した。
次の日ーー
あなたー?遅刻するわよ!早くご飯食べちゃいなさい
自分
はぁい!待って
まずい。まずい。イヤリングがない。いつの間にか、部屋がごちゃごちゃになっていた。このままじゃ学校に遅れて、絵里たちにも置いていかれてしまう。ぁああっ…
自分
ああ、もうっ。
涙が出てきそうだった。やけくそで、引き出しごとひっくり返したら、しゃらんという音が聞こえた。そこを夢中で探すと、
自分
あった…!!
イヤリング発見。これで、最悪の状況は免れた。でも、下では母が叫んでいる。
あなたっ!!!まだなのー?!何しているの!
自分
今行く…!!
母が怒ると、怖い。それはもう、学校やめさせられちゃうんじゃないかって思うくらいだ。でも、私だって大変なのだ。友達関係とか友達関係とか。私は下にかけ降りる。
自分
ちょ、ちょっとものを探してて。
今することじゃないでしょ。支度なら、前日の夜しなさい。
自分
うるさいなぁ……(小声)
なんか言った?!
まずい。母にだけは、いや、いつも私の回りにいる人は怒らせてはダメなのだ。
自分
ごめんなさいっ…って、いいまし、た。
…早く食べて、さっさと行きなさい。
家を出なきゃいけない時間まで、あと5分。朝御飯を食べてる時間なんてない、その前に少し食欲がない。
自分
ごめん、今日要らないっ
そう言って、すぐ家を出た。少しだけ余裕があったから、今来たLINEを確認。絵里たちとのグループLINEだった。
えりりん
ごっめん!
えりりん
今起きた!
えりりん
いつも迎えに来てもらってて悪いんだけど、
えりりん
今日は先いってて!
絵里の取り巻き
うちも遅れるー
絵里の取り巻き
うちもー😜あなたごめんね!
自分
うん!全然いいよー先行ってるね!イヤリング楽しみ!
すぐに既読にはならなかったから、電源を落として鞄にいれる。そして鞄を持ち直し、仕方ない、仕方ないと自分に言い聞かせながら学校に向かって走る。走っている間に、イヤリングをつけた。
だが、イヤリングのまま一人で教室にはいると嫌だ。髪の毛でイヤリングを隠しながら、校門で待つことにした。
数分して、そろそろ先生たちが校門を閉める時間になった。向こうから絵里たちが走ってきたので、私も一緒に走った。焦っていて、絵里たちの耳は見なかった。
自分
ふぅーセーフだねっ!
絵里
うん!!ほんとよかったー
教室に入ったとき。
先生
おい!あなた!耳につけてるのはなんだ?イヤリングじゃないのか?
私のイヤリングを目ざとく見つけた先生が、ぐんぐん近づいてきた。さっきは髪で隠していたが、走ったせいぜ完全に耳が見えていた。絵里の方を見る。イヤリングが、キラキラ光に反射して…
絵里たちの耳に、イヤリングはなかった。私は絶望した。絵里さえつけてれば、絵里さえ…なんで…絵里。
自分
いえ、これは違って、
絵里がやろうって言ったんです。そう言おうとしてしまった。ぐっと言葉を飲み込む。
自分
…昨日買ったものだから、試しに朝つけてたら、はずすのを忘れて…
先生
どんな理由だと、許されない。勉強に関係ないだろう。放課後、あなたのお母さんに連絡する。
自分
そ、んな…
絵里に悪気はないんだ。きっと。きっと。寝坊したから、うっかりだ。忘れてしまったんだ。そう、こんなこと、簡単に忘れてしまうことだ。
そう思い込もうとしているのに、涙が出てきそうだった。絵里の方を向く。
絵里
朝…時間がなくて…ごめん。私がなんか言えば良かったよねっ??
顔を覗きこんでくる。悪くないんだ。絵里は。
自分
ううん、ぜーんぜん、怒られるの、慣れっこだし笑
作り笑いを浮かべた。唇を噛み締める。にこっとわらって、少しトイレ、と教室を出る。朝礼が始まるのに、だ。
さっき、ちゃんと笑えてただろうか。でも、予想していた。絵里がつけてこないだろうと。いや、絵里がじゃなく、絵里たちが。意地悪でつけてこないんじゃなくて、本当に忘れてつけてこないだろうと予想はしていたんだ。なのに。なのに。

涙が止まらない。
結局、一時間目は、お腹が痛くてトイレにこもっていたという理由をつけて休んだ。
絵里
大丈夫ー??お腹いたいと辛いよね笑
絵里の取り巻き
つらいつらい笑
絵里の取り巻き
しぬー
私は苦笑いした。それから、その日は一日おとなしくしていた。もちろん、お腹が痛いと言う理由で。
放課後ーー
絵里
あなたー!今日さ、習い事あるから、先かえってて?じゃあね!あ、お腹お大事に!
絵里の取り巻き
じゃ、絵里いこー
絵里の取り巻き
じゃあねー笑
自分
うん。
重い足取りで家に帰った。チャイムをならした。…母は仕事をしていない。のに出てこない。もう一度チャイムをならす。私はあいにく、合鍵を持っていない。
ドアが空いた。
あなた。あんた、学校にイヤリングしてったの。
自分
いや、それは
言い訳は聞いてないわ。
自分
あの、でも
でもじゃない!…明日は学校休みなさい。それで家にずっといて、反省して。
自分
そんな、やだ…っ
ダメよ!部屋も見たけどごちゃごちゃじゃない!!朝はイヤリングを探してたの?バカらしいわ。明日は反省しながら片付けよ。片付け終わらなかったり、学校に行ったりしたら学校やめさせるから。
自分
なんで……私は、
そのとき、スマホがブブッと震えた。スマホ画面をちらっと見る。
えりりん
今度また、今度は一緒にいたずらしようね☆絶対だよ~!約束♪
なんでって?そんなの決まってるじゃない。あんたに拒否権はないのよ。
…知ってる。

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