神崎くんからちょっと付き合えと言われて連れて来られたのは3階の空き教室だった
空き教室の机は全部後ろに下げられていて少し広く感じた
神崎くんは背を壁に預け床に座ると一息つく
私も恐る恐る神崎くんの隣に少しだけ距離を空けて座った
長谷さんと神崎くんって仲が悪いのかな…
長谷さんの名前を出すと少し不機嫌になっている
意識して敬語にしていた訳ではなくて今言われて気付いた
私、神崎くんにも敬語だったんだ…
神崎くんの目が私の目と合って、同時に心臓が少し跳ねる
かと思うと目を逸らして、
今度はさっきより高鳴った
また顔を横に向けて視線が合う
綺麗な金髪に黒よりも茶色味がある瞳
意地悪だ……
そんな笑顔で、そんな言葉を言われると誰だって好きになってしまう___
そんなの言われてしまうと両思いなんじゃないかと勘違いしちゃう
駄目だ、そんな上手いこと考えちゃ後で傷付くのはきっと自分
神崎くんにとって多分何でもない言葉なんだ
好きな人に言われたら赤くなるのも当然
片思いなら好きになってもらえばいい
そのために頑張るんだ
緊張して少し声が高くなってしまった
神崎くんは私から言われる言葉を予想していたのか微笑んで「行きたい」と言ってくれた
お礼を言うと神崎くんは口を大きく開けてあくびをしている
眠そうな顔で目を瞑ったら今にも寝そうな勢い
そう言うと寝転がって目を瞑った
起こしてと言われたけど昼休みあと10分で終わるんだよなー……
それでも少しでも一緒に居られるなら嬉しい
寝顔…屋上の時以来だ、て言ってもそんなに日にち経ってないか…
あれから10分しか経ってないけれどそれでも爆睡しているなかさっきから中々起きない
朝から来て早起きしたから眠いのかな
体をゆすって起こすのも気が引けて声だけで頑張って起こしているけれど起きる気配はない
スースーと寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている
神崎くんもしかして起きるの苦手なのかな…
目をピクッとさせたので起きたのか声を掛けたときだった
呼吸が荒くなり苦しそうに双子の弟の名前を呼んだ___