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2020/11/30

第31話

第30章
太陽の容体が急変した。



「太陽!!!!??」
「ふふっに、似合ってる…よ」
「っ!!バカ!今そんなこと言ってる余裕ないだろ!!?」
でも……さっきから無理して喋ってたのか…?
また…俺は……気づかずに……。
「ふーっ…大丈夫だから…多分、そろそろ最後なのかな」
「そんなこと言わないでくれ。
頼むから……やめてくれ。最後なんて…言わないで」
太陽は震える手で俺の手に乗っていた指輪をとり、俺の左手の薬指に入れる。
「ねぇ、俺が…死んでも…天国に行っても…
お前が俺のところに来たとき……結婚してくれる…?これは…婚約指輪だからな…」
「婚約……指輪…?」
「本当は…もっと早く…渡したかった…。
元気なときに…渡したかった。
大人になって…俺が…生きてて…それで…それで……」
太陽の目から涙が溢れて……言葉を詰まらせる。
「それで…お前のかっこいい社会人としての
働きぶりを見て、俺の妻…すげーだろって…
かっこいいだろって…言ってやりたかった。
正直、すげー抱きしめたくて…抱きしめたくて…たまらない」
「俺が、男でもいいのか?」
「あぁ男でも…女でも月花は、月花だ」
一番言って欲しい言葉を……俺が望んでいた言葉を…。太陽だけが言ってくれる。
それがたまらなく嬉しくて、悲しくて。
俺の目からも涙が溢れる。
「ありがとう……ありがとう。
俺も…太陽が好きだ。大好きだ」
太陽に寄り添い、俺は抱きしめる。
壊れないように……大切に…それでも愛おしさを忘れないように。
腕を離し、太陽を見つめ、俺は太陽にだけ、俺がもう人生で言わないであろう言葉をかける。
「私は…綾瀬太陽のことが、大好きです」
涙を流しながら笑う私を、太陽が微笑みながら見つめてくれる。
「初めて…私って言ったな」
「そうだな、でもあれは太陽だけに一度きりしか言わない言葉だ」
「それは…光栄だな。お前の一度きりは、俺がもらった」
「あぁ、俺の恋心を…女としての心を全部太陽にくれてやる」
「それだと…俺、女になるじゃないか」
「でもいいだろ?男同士で結婚するよか、
お前が女子になって俺が男子になればいい」
「バカ、逆だ逆。
俺が…お前を…月花を、幸せにするんだからな」
「嫌だね、俺は女心をお前にあげたからな」
「あれ?じゃぁ…なんで赤くなってるのかな?女心持ってんじゃねぇかバーカ」
そんなの……あんなこと言う太陽が悪い。
また俺は顔を逸らしてしまう。
「月花、こっち向いてよ最後だし」
太陽が俺の名前を呼ぶ。
『最後』という言葉が俺の心を揺さぶる。
涙が溢れてくる。
俺は太陽を見るけど涙で滲んで見えにくい。
「お前、そんなに涙ためて見えにくくないのか?」
太陽が俺の目に手をのばし、涙を拭ってくれる。
とても…嬉しいのに。
太陽の手が弱々しく俺に触れるもんだから、
本当に……ここからいなくなってしまうと
実感してしまう。
「涙、止まんねぇな」
「お前のせいだぞ太陽」
涙を拭っていた太陽の手は、俺の頬に手の全体で触れ、耳にまで届く。
太陽の手…男の人の手で大きい。
「ちょっ、くすぐったい」
「ふふっ…かわいい」
からかうように笑い、子供のようだった。
それでも、太陽はもう……限界だった。
息も、だんだん弱くなっていく。
「バーカ。カッコいい…だろ?」
俺は涙も止まらないまま、笑って言う。
心拍計の電子音が徐々に小さく、ゆっくりになっていく。
「あぁ……そうだな………。
…大好きだ…月花……ずっと…待ってるから」
「あぁ、絶対…そっちに行って約束、守るからな」
「………うん…」
「太陽……愛してるっ…」
冬の始め
澄んだ空に星がきらめき、満月が昇る瞬間。
綾瀬太陽は、この世界での命を尽きた。
彼の大切な人に手を握られ、もう片方の手には彼女が取ってプレゼントした
キーホルダーが握られていた。