すっかり夜がふけて、さっきまで澄んだ空にあった三日月もそろそろ沈んでしまいそうだった。
「はぁー!食った食った!!!」
「やっぱり変わらない美味しさだな。
何度食べても飽きない…すごい技術だな…」
「…お前ただ夜飯食っただけなのにそんなこと考えるのか?」
「いや…ただ無意識に口にしただけだ、
あまり気にするなよ
それよりありがとうな、送ってくれて」
「いやいいって、エスコートするって言っただろ?これくらいしなきゃ男として終わってるって思った方がいいぞ?」
太陽って…意外としっかりしているところがあるんだなぁ……。
俺も見習わなきゃだな。
「じゃぁ、また学校で」
「………あぁ、また………」
ん?今小声でなにか言った…?
振り返ると笑顔で手を振っている太陽がいる。気のせい…か。
小声で言った言葉を聞き逃したことに俺はこのあとずっと後悔するだろう。
この日を最後に、太陽は学校へ来なくなったのだから。
第26章へ続く
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。