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2020/11/28

第29話

第28章
病室に入ると、カーテンで仕切られた一つのベッドが見えた。
そこから聴き慣れた声が聞こえる。
「よう、月花だろ?
カーテン開けてこっちに来てくれないか?」
いつもよりか細い声…。
俺は恐る恐るカーテンを開ける。
「よっ、太陽。随分弱ってるじゃないか」
「だろ?あんまり見せたくなかったんだがな」
弱々しく微笑む姿は、いつもと違って…不思議な感覚がする。
「…父さんから聞いた?」
「聞いた……。でもどうせ君のからかいだろ?」
「ちげーよ。本当のことだ」
知ってる。姿を見れば本当だってわかる。
でも……信じたくなくて…あんな質問して…。
「………俺はバカだな……」
「おいおい、そんなわけないだろ?」
呆れ顔で俺の独り言に応える。
「いいやバカだろ…。
お前と最近会ったばかりなのにお前のこと…なにも見てなくて……」
俺の頭に暖かい手が乗る。
太陽がいつものように笑う。さっきみたいな
弱々しさがない…いつもの笑顔。
「これじゃ、分からないだろ?
お前もいるとちゃんとした笑顔になるのだから気づかなくて当然だろ!」
違う……やっぱり違う………。
いつもと違う。しっかり見ればわかるはずなのに、俺は……なにも気付けなかった。
全然違うじゃないか。いつもの笑顔と全く。
不安に溢れて、震えているじゃないか。
「なにも…ちゃんとしてない。
違う…。今……違う…笑顔じゃ、ない」
言葉が、ちゃんと出てこない。
なんて伝えればいいのだろう。なんと口にすればいいのだろう…。何一つ、分からない。
「…そんなことないって言ってるだろ?
でも不安が表情に出てるってお前は言いたいんだろ?」
俺はうなずく。全くそのとうりだった。
「確かにすごく不安で怖いよ。
徐々に辛くなっていったことが急に楽になって……医者からそろそろやばいだなんて言われても現実味がないけど……怖いよ。すごく。
けど、お前といるとすごく安心するんだ」
なんで……なんで俺にそんな優しい言葉をかけてくれるんだ。
「俺が…励まされちゃダメだろ」
「ダメじゃない。お前はすごく苦労してきたんだろ。今日くらい俺から励まされろ」
さっきとは違い、真剣な顔でいう太陽は
いつも以上にカッコ良かった。
「そんなカッコつけても無駄だぞ」
「ッブ!!!頬赤らめて何言ってんだ」
「うぅ…う、うるさい!
第一お前だって赤くなってるじゃないか!」
少しばかり頬を赤くして、爆笑する太陽を見てると、こっちまで笑えてくる。
この状況を忘れていたい。ずっと…ずっと、
太陽と笑って、ふざけて、遊んでいたい。
「………月花。
あそこの、タンス開けてくれないか?」
太陽が指を差した場所は入院している人の普段着を入れるタンスがあった。
「ここ、お前のプライベートなんじゃないか?俺なんかがみていいのか?」
「うん、いいよ別にプライベート隠してるわけじゃねぇし」
「嘘だろ?男子だったら隠したい物の一つや二つあるだろ?」
太陽は俺から目を逸らし、俺にギリギリ聞こえる声で呟いた。
「まぁ……ないことはないけど…」
「じゃぁ俺がみないほうがいいじゃないか?
体は女の子なんだ、見られたくないだろ」
「バカじゃねぇの!!?
病室にそんな物持ってきてるわけないだろ」
「そうだな、すまんすまん」
あまりに必死だったため、俺は少し反省した。からかいすぎただろうか……。
まぁ太陽が気にしないというなら見よう。
ダンスを開けると、一つの紙袋が真ん中に置いてあった。
「太陽、これか?取ってそっちに持っていけばいいか?」
「いや、持ってこなくていい。開けて中身見てみろ」
まださっきのことを気にしてるのだろうか…
俺から顔を逸らし、目を合わせず答える。
さて…太陽のお宝が入ってるのか……。
すごく気になるな。
俺は期待に胸踊らせながら紙袋の中を見てみる。




第29章へ続く