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2020/11/28

第28話

第27章
「ただいま」
「お帰りなさいませ、お嬢様」
声のトーンが少し低く、目の下の隈は前よりも濃くなっていた。
やっぱり、あの日から様子がおかしい…。
2人で買いに行った時何かあったんだろう。
「なぁ、悠哉。
お前太陽に起こったこと知ってるな?」
「えぇ存じております」
…は?それは俺が予想していた答えと違っていた。もっと焦ったり、誤魔化したりするのかと…ずっと思っていた。
「後でお伝えしますから…車にお乗りください。今すぐ」
「え、なんでだ?」
「いいから、急いでお乗りください」
俺は悠哉のお願いに従うしかなかった。
悠哉が俺を連れて、きた場所は
俺がいつも通っていた病院だった。
「なんで病院なんて……」
「すみません太陽さんのお見舞いに来たものです。面会許可はご両親からもらっているのですが」
太陽の見舞い?!!なんだそれ、聞いてないぞ。というかあいつ入院してたのか?
「あぁ、あなたが一ノ瀬さんですね。
病室までご案内します」
なんなんだ…なにが起こってるんだ……?
看護師さんが立ち止まった部屋は普通の病室だった。太陽は、軽い怪我や病気で入院しているのだろうか………。
「月花さん、来てくれてありがと。
でも太陽のことなにも聞いてないよね」
病室のドアの前の椅子に綾瀬さん、太陽のお父さんが座っていた。
「は、はい…なにも知らないままここに来ました。太陽君は軽い…怪我とかですよね?」
綾瀬さんは悲しい顔をする。
とてもとても……悲しい顔を。
「……違うと言ってください。
お願いします。親友…なんだ。たった2人の…親友なんだ。多分…女としての心はきっと、大切な……大好きな人なんだ」
俺の声が自然と震える。
嫌な予感どころじゃない。苦しくて、悲しくて仕方がない。
「ごめんね…。太陽の母は太陽を生んだ後、
病気で亡くなったんだ。
その病気がお腹の中にいた太陽にも伝染していたみたいで、生きていれても大人になる前には死んでしまうって診断されていたんだ」
嘘………だ。いつもあんなに元気に遊んでて、
俺とダンスした時だって…。
あれは…演技って言ってたじゃないか。
「月花さんは辛いよね。
光としても、月花としても息子を…太陽を好きでいてくれたから」
「……気づいていらしたのですね」
「えぇ…太陽から、悠哉さんから聞いたと
伝えられたので」
やっぱり、あの時だ。
2人でハンバーガーを買いに行った時。
あの時から悠哉の様子がおかしかったのはそのせいなのか。
「申し訳ありませんお嬢様。
ですが…太陽さんのことも聞かされて言わざるを得ませんでした」
「俺は別に気にしていない、いつかバレるものだと思っていたからな」
こんなに早く知られるとは予想外だったが、
多分太陽も感づいていたのだろう。
「それで…今の容体は大丈夫なんですか?」
「えぇ…。ここから先はずっと穏やかで苦しみを感じません」
太陽の容体に関して、口を挟んだ看護師さんは、はっきりと口にしなかったが、
苦しまずにそのまま死んでいくと、そう言っているように俺は聞こえる。
「………中に…入っていいですか?」
「構わないよ。太陽と2人きりで話したいらしいからな………」
「最後だから…。あの子を頼むよ」
後に、綾瀬さんは付け加え、太陽とそっくりな綺麗な目から涙が溢れていた。
一番辛い人は綾瀬さんなのに、最後が俺でいいのだろうか。
俺が泣いてはダメだ。太陽を困らせてもダメだし、今我慢している綾瀬さんのためにも。
泣いてはならないんだ。




第28章へ続く