石橋said
いいですか?とあなたさんは言ったものの
やっぱり俺は警察に言った方がいいかと
思ってきた。だってまだ若い女性だし、
もしかしたら、実際はまだ実家暮らし
かもしれない。そうしたら両親が
帰ってこないと心配してしまう。そして
誘拐事件となって捜査が始まってしまう。
そうすると確実に俺は捕まる。
だから、いちを聞いてみた。
と、大きい声で叫ぶ。
か、可愛い……
上目遣いで話してくるから俺は
どうしても放っておけなかった。
危うく、瞳に吸い込まれるところだった。
モジモジして俺に問いかける
俺と同じ事を思っていた。
やっぱりどこかで会ったような気が…
そんなことは無いのになんでだろうか。
俺はまだ名前を教えていないことに気づく
あなたさんが上目遣いで警察に
行きたくない。と言うし、怖いというから
やはり俺は泊めることにした。
立ち上がってぺこりとお辞儀をした。
そして、部屋に入れる。
と言って大体部屋が綺麗。……
なんて言う詐欺がよくある。
俺の場合は違う。
本当に今日は汚かった。
俺は一発ギャグ,大喜利,漫才のネタまで
書いてみたんだ。漫才のネタの作成って
意外と大変だった。そう、
ネタ作成した紙とか大喜利のスキルを
あげるためいっぱい紙に書いたのだ。
それが大量に散乱している。
気づいたらあなたさんが大量に散乱
している紙を片付けてくれていた。
本当に優しい方だな。きっと育ちがいいんだなぁ
その笑顔に俺はやられてしまった。
ずっと心がふわふわしてるんだ。
俺は中学生以来彼女出来てないし、
女性苦手だけど俺は信頼ができる。
2回も呼ばれていた。
いや、待てよ。
服はどうすればいいんだよ。
考えに考えた結果。
そりゃ、笑ってしまうよな。
男が急に女の服出すと笑うよな。
可愛い…
そして、あなたさんはシャワーを浴びて行った。
だけど疑問に思った事が1つあった。
記憶喪失なのに何故だろう。
シャワーの入り方など覚えているのだろうか。
シャンプー,コンディショナーなどを
覚えているのだろうか。
そして扉を開けた。
軽く濡れた髪。艶で満ちた黒い色が
俺の目と心を盗んだ。
小さい体を包んだ大きめの服は
もっと彼女を可愛く見せる。
俺は先程の疑問を聞いてみる
と言うらしい。
何故分かったんだろう。
俺からは言っていないはずなのに
恥ずかしくて頬を赤くしてしまった。
普通一発ギャグなんて紙に書くもんじゃないけど
まぁ、芸人ってまずコンビって思うよな。
これでもっと俺のこと知ってくれたら嬉しいな
あなたさん詳しいな笑
一般の人じゃ漫才,コントの違いが
わからない人だっているけど
そりゃそう思うわな。
3人だったら三千頭身で良くない?
って思う人が多いし……
実際にも結構、三千頭身って間違われるし。
普通に拓実とLINEで大喜利してる時に
“四千頭身”という言葉が出ただけだ。
優しい……
今度絶対ネタ見せないとだな。
そして、あなたさんが髪を乾かしている
間に俺はお風呂に入る。
そして、お風呂の中で考えていた。
どこで寝かせようか。いや、さすがに
俺のベットで寝かせるか。それが礼儀か。
ソファーないし、敷き布団ないし。
まぁ、何日かの間の辛抱だ。
あ、あなたさんお腹すいてないかな?
俺あなたさんに夢中で全然気にしてなかったけど
牛丼はまた今度にしよ。
風呂から上がって……
呼んだ時には彼女は床で寝ていた。
何も掛けずに。寒いかもしれない。
ベットに移動させよう。
起こさないように……
俺はお姫様抱っこして移動させた。
気づかないように数メートル離れた
ベットに移動させた。
お姫様抱っこしてる状態で起きてしまった
あなたさんは顔を下に向け埋める。
そして、頬を真っ赤に染めている。
その仕草は反則だよ。可愛すぎる。
そして、ベットに移動させた
俺がここで寝てあなたさんを
地べたに寝かせる訳にもいかない。
そしてもう1つ問いかける
さすがにずっと無愛想過ぎると思って
微笑んだ。すると
微笑み返してくれた。
初めてこんなに綺麗で可愛くて
心がふわふわするような人に会った。
どうしてこんなにも親近感があるんだろう。
ここから数日間、もしくは記憶が戻るまで
俺とあなたさんは一緒に生活するのか。
不思議だなぁ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!