第16話

15話
1,008
2021/03/21 12:00
葉山 茜
大丈夫?
 和泉 音羽
平気
3人が出て行って少しの沈黙がながれ、ふと我に返る。

目の前で起こったことに動揺していないわけじゃないけど怪我はないみたいでとりあえず良かった。
葉山 茜
……いつもああいうことされてるの?
 和泉 音羽
たまにね
そう言って乱れた髪を手で梳いて、耳にかけた。

こんなのおかしいのに、当たり前みたいに言うから不思議でたまらない。
葉山 茜
先生には言った?
 和泉 音羽
言ってない。 でもきっと知ってる
軽く首を振ると、美鈴が手放して行ったスマホを手に取り、

電源切っといて良かった 、と笑った。
葉山 茜
何もしてくれないの?
 和泉 音羽
あの人が何かするとは思えないよ
 和泉 音羽
それに
 和泉 音羽
私が望んでこうしてるだけ
 和泉 音羽
だから放っておいて
冷たくも真剣な瞳に捕まった。



鞄を持ち、教室を去っていく姿をただ眺めて1人、取り残された私。




なんで愛花はあんなことしてたの?

歩夢も美鈴も止めようとしなかった。

音羽も、自分が望んでるって何?

何もかもが分からない。

夕焼けに染っていた空は紫色になっていた。


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