第10話

9話
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2020/10/02 11:00



side 愛花
伊崎 歩夢
愛花 今日ご機嫌だったでしょ
歩き始め、学校から少し離れて来たところで歩夢が口を開く。
伊崎 歩夢
なあんにもしなかったもん
朝比奈愛花
“ご機嫌”って程でもないよ
朝比奈愛花
あんなの転校初日に見せるもんじゃないし
月河 美鈴
歩夢だって茜とは仲良くしたいでしょ?
伊崎 歩夢
そりゃそうだけど
ぶーっと少し頬を膨らませる姿はまるで幼稚園生のようだ。

どうやら、取り立てて何も無かった今日が不満だったみたい。


とはいえ私だって鬼じゃない。


あんなもの転校初日に見るのには少し刺激が強すぎるでしょう?
朝比奈愛花
それに、想空もあの子のこと気に入ってたみたいだし
月河 美鈴
確かに。なんか珍しいね
伊崎 歩夢
もしかして想空ちゃん、茜に恋しちゃったとか!?
月河 美鈴
さすがにそれはないでしょ
朝比奈愛花
有り得ない
朝比奈愛花
音羽の1件で想空も懲りてるはずだから


そう、わかっているはずなの。


今、自分がどんな状況で、自分の所為で周りにどんな被害がでているのかを想空あの子はちゃんと理解しているはず。
伊崎 歩夢
音羽も馬鹿だよねぇ
伊崎 歩夢
愛花の“お人形さん”に手 だすなんて
朝比奈愛花
想空のこと、最近 自由にさせすぎちゃったから…



あの子が他人に心を許しすぎて、私がそれを見落としていた。


あの子もあの子でタチが悪い。

私が音羽と付き合うことに反対するって分かってて、何も言わずに付き合い始めたんだから。

悠叶には相談してたって?笑わせないでよ。

あの子を買ったのは私。

あの子は私のモノなの。




あの子は、想空は、私のお人形なのに。








握りしめた拳に爪がくいこむ。


行き場のない怒りをぐっと堪え、1度、深呼吸をした。


いつの間にか隣にいた2人に遅れをとっていたようで、数メートル程の間があいている。


現状、私達を止めるクラスメイトなんていない。

みんな自分を守るのに必死だから。

それは先生だって例外じゃない。
きっとあの人は気づいてる。

けど、プライドが高いから自分の受け持つクラスでそんなことが起きてるなんて、自ら言うはずがない。

見て見ぬふりってやつ。






これでいいはずなのに、充実しているはずなのに、心に穴が空いているみたいで物足りない。






2人はどう思っているんだろう。



歩夢はともかく、優羽は………


まあいい、こんなこと考えても何にもならない。


今が楽しいんだからそれでいいはずだ。
朝比奈愛花
何の話 ?
遅れていた足を早めて、2人に追いついた。


他愛のない話をして今日を終える。

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