3人が来てから黙り込んでしまった音羽。
歩夢の言葉を聞けば、教室から出ていってしまう。
何やら普通ではない雰囲気に少し居心地の悪さを感じたが、首を突っ込んではいけない問題だろう。
この人たちは明らかにこのクラスを取り仕切っているグループだ。
仲良くなれるチャンスを簡単に逃すまい。
歩夢が教卓の周りに固まっている男子生徒の集団に向かって、声をかける。
一人、こちらを向いて返事をしてきた人がいた。
...あれか。
少し明るめの茶色の髪に整った顔立ち。
身長は標準より少し高いくらいで溢れでる人気者オーラ。
悠叶くんが自分の横を指さした。
そこに誰かいるんだろうけど、ちょうど教卓と人の群れに隠れてしまい、私からは見えない。
空いた音羽の席に座り、机に頬杖をついて座っている愛花が、「ちょっと来て」と手招きをした。
それを見れば悠叶くんが、先程指差した想空と呼ばれる子に話しかけ、男子の集団の中から出てくる。
悠叶くんの後ろについて歩く背の低いあの子が多分、想空って子だろう。
私を見て、考えるように眉間に皺を寄せた。
そういえばこの人、HRの時机に突っ伏して寝てたなぁ。
そう言って苦笑いする悠叶くんに大丈夫だよ、返す。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。