第4話

4.
195
2019/06/24 11:50
お母さん
ごめんねあなた
母さんたちが犯した過ちを
一生許さず恨んだっていい
だからこれだけは聞いて

絶対に






お外には出ないで
お父さん
でももし、母さんや父さんが
“いなくなって”

お外に出たくなったら…

ぱちり…と目を覚ます
これは過去の記憶

昔から私は外に出たことがない

家の周辺はまるで結界のような茨が
覆っていた

それに山奥の家でまず、人になかなか会わないし会わせてもくれなかった



もちろん学校になんて行ったことは無い
が、ある程度のことは父や母に教わっていた

そして先月、


父と母が亡くなった

本には『死んだ人間は形として遺る』
と書いてあったのに砂のように消えてしまった

それが“代償”なのだ、とよく父と母は言っていた


父と母が亡くなった今、

私は外に出たい、学校に行きたいのだ


そして今
学校に向かっているのだ

プリ小説オーディオドラマ