─あなたはまた、嘘をつく。
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そう言って笑ったあいつは、なんて性格の悪いやつなのかな。
1時間目。
私は冷や汗をかいている。
だって数学の先生とばっちり目が合っているんだから。
ただいま宿題の丸つけの真っ最中。
自習なんて全くの嘘。
また、うーたんにやられた。
私の隣の席のうーたん─ことウジは、毎日のように嘘をつく。
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そう言って、彼は手を差し出した。
私は渋々その手に飴玉を置く。
あの後、結局うーたんにノートをこっそり見せてもらって
なんとか乗り切った。
さっきからくすくす笑っているこいつ。
本当に腹立たしい。
私たちが初めて隣の席になってから、
2人だけの謎ルールが生まれた。
‘騙された方がお菓子をあげること。‘
それはうーたんが決めたことで、私も承諾した、んだけど……
そんな風に騙され続ける毎日を過ごす。
それが私のデフォルトだった。
そんなある日。
うーたんが近寄ってきて。
一瞬心臓がドキッとなったが、
どうせまた嘘をついて楽しんでるのだろうと思って相手にしなかった。
うーたんの耳が真っ赤になってるのも知らないで。
うーたんがふっとため息をついた。
うーたんの髪がさらっと揺れる。
うーたんは私の腕をぎゅっとつかんで背伸びした。
耳元でささやいて、私のくちびるを奪った。
ふわっとうーたんの香りがして、心臓が締め付けられる。
初めて彼が言った‘嘘じゃない言葉‘を、
私は忘れない。
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うーたんの話だけ飛ばして公開してました💦
ごめんなさい🙏
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!