うちの学校の女子はほとんどみんな
キムミンギュに恋をする。
うちの学校の男子はほとんどみんな
キムミンギュに嫉妬する。
そんなキムミンギュの正体は、
─女たらし。
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クラスメイトで親友のらいむがボヤいた。
彼女も現在キムミンギュに絶賛恋愛中。
私はキムミンギュが苦手だ。
誰にでも笑顔を振りまいて、誰にでも愛嬌して、
どんなにかわいい子にも、どんなに意地悪な子にも同じ対応。
そういう性格が鼻についた。
私たちは不幸にも幼なじみなのだ。
そのせいで'みんぎゅファンクラブ'の子たちに睨まれるし
こいつはこいつで気づかないで馴れ馴れしくしてくるし。
親しみを込めて'あなたっち' 、 'ぎゅっさん'と昔から呼び合っているのも
もう嫌になってくる。
ぎゅっさんに連れられて来たのは体育館裏。
ぎゅっさんが口を開く。
それでいつもと雰囲気が違うっていうのは一瞬で分かった。
'うん嫌いだよ'ってなぜか言えない。
私はこいつが大嫌いなはずなのに。
謎のためらいがある。
そうだ。忘れちゃいけない。
キムミンギュは女たらし。
でも私は、女だった。
ずっと素直になれない性格が大嫌いだった。
私が本当に嫌いだったのは、変わってしまったぎゅっさんより
まだ成長できない自分だった。
.
.
顔を真っ赤にしてぎゅっさんは言った。
思わず、こいつに本音がこぼれる。
言った瞬間はっとなる。
顔を上げると思った通りぎゅっさんがニヤついていた。
私もキムミンギュに恋をして、落とされた。
そんなキムミンギュの正体は、
─私の彼氏。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!