気づいたら私は彼の彼女になっていた。
なんとなく、お互いに好意を持っていることに勘づいていて。
彼の彼女になっているみたいだけど、
彼は "好き" とか直接言葉で伝えてくれたことはなかった。
だから、実感ない。
普通のカレカノみたいに一緒に登校して、
普通のカレカノみたいに一緒にお弁当食べて、
普通のカレカノみたいに一緒に帰る。
これが私たちのデフォルトだった。
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今は親友のゆずちゃんに相談中。
さすがにこの状況はまずいかなと思ってゆずちゃんに相談してみた。
だってだって…………
はあ、とため息をついた。
私たちが頭を寄せあってうーん…と悩んでいると
私はゆずちゃんに泣きそうな顔をして見せてから
でぃのくんに着いて行った。
ちょうど悩んでたことをでぃのくんにも聞かれた。
それは私が聞きたいよ!
わ。
すごくぴったりな言葉がするりと出てきた。
友達以上恋人未満。便利な言葉があるものだ。
でぃのくんは私の目を見つめた。
好き。好き。
だから本当に、でぃのくんの彼女になりたい。
.
でぃのくんははにかみながら笑った。
いつの間にか彼女になっていたけど、
今ここで初めて言われた "好き" って言葉で
ようやく本当の彼女になりました。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。