窓から夕日が差し込む、午後4時半。
先生が顔を近づける。
自分でもドキドキが速くなるのが分かった。
教室には先生と私しかいない。
最近恒例になってきた放課後の質問教室。
参加するのは私だけ。
教えてくれるのは先生だけ。
先生を独り占めできるこの空間が、
私は大好きだ。
先生の優しい香りが鼻をかすめる。
先生のことが好き。
何回言おうと思ったか。
でも、高校生だから。
私は子供。先生は大人。
そう言い聞かせて諦めてきた。
でもこうやって2人でいるときだけ、
私と先生はお似合いなんじゃないかって……
錯覚してしまうんだ。
先生がペンを置いた。
やばい。
私が集中してなかったから先生怒らせたかも……
先生が私の頬を優しく包んだ。
そしてにっこりと微笑む。
.
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先生の声がすぐそこにあった。
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先生の手が頭に乗った。
先生の微笑みが夕日と混ざって、
すごく眩しかった。
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無浮上とは( ˙-˙ )
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!