第17話

& 🦊 -先輩-
529
2020/08/08 22:24




今、完全に緊急事態。





まあ他人から見たらただ先輩と後輩が同じ教室にいるってだけの話。












でもそれが10人中9人、いや10人みんながイケメンと言いそうな



さわやかクールな顔立ちの先輩で、






なおかつ自分の好きな人だったらどうするか。






(なまえ)
あなた
……ッ




緊張と混乱で頭が回らない。




ここに私を呼んだのは他でもないこの先輩─うぉぬ先輩だった。







┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


うぉぬ
うぉぬ
あなた、さん?



人生で初めて大好きな先輩に声をかけられたのが、


今日のお昼休みのこと。





(なまえ)
あなた
は、はいぃぃっっ!
うぉぬ
うぉぬ
あの、放課後……僕の教室来てくれる?



優しい声、きゅっと細められた目。





目にかかりそうな髪の毛をさらりとかきあげる先輩。








かっこよすぎて一瞬息の仕方を忘れる。





うぉぬ
うぉぬ
えっと…僕の顔になんかついてる?
(なまえ)
あなた
あっ、いやっちがくて!
うぉぬ
うぉぬ
そう?ならいいんだけど
うぉぬ
うぉぬ
じゃあ、放課後よろしくね



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




今、私より20cmくらい背の高い先輩に見つめられている。



この沈黙に耐えられず、私は話した。





(なまえ)
あなた
私、ずっと先輩の声聞いてみたかったです



するりと言葉が出た。





うぉぬ先輩がえっ、と声をあげる。






(なまえ)
あなた
うぉぬ先輩って無口で…いつも本読んでるじゃないですか




私が見てきたうぉぬ先輩は、いつも本を読んでいた。






しかもいつもブックカバーをしていて何の本なのかわからない。









先輩の同級生にも、うぉぬくんって不思議と言われていた。






(なまえ)
あなた
でも、先輩の笑顔見たら…先輩のこともっと知りたくなって
うぉぬ
うぉぬ
ㅎㅎㅎ




なんで私こんな告白じみたことしてるんだろう。




うぉぬ先輩がクスクス笑っている。





うぉぬ
うぉぬ
あなたさん、ありがとう
(なまえ)
あなた
ごめんなさい、1人でこんな変なこと言ってㅎ
うぉぬ
うぉぬ
ううん、あなたさんの気持ちうれしかった
うぉぬ
うぉぬ
でも、僕が先に言いたかったな
(なまえ)
あなた
え?
うぉぬ
うぉぬ
僕、あなたさんのことが好き




その言葉はまっすぐで。




私の心のど真ん中に刺さった。





うぉぬ
うぉぬ
ひまわりみたいなあなたさんが好き
うぉぬ
うぉぬ
人のことしっかり見てるあなたさんも好き
うぉぬ
うぉぬ
たまに何もないところで転ぶあなたさんも、好き
(なまえ)
あなた
そんなの見てたんですか!?
うぉぬ
うぉぬ
見てたㅎㅎ



うぉぬ先輩は私の大好きな笑顔になった。





胸が反射的に高鳴る。






うぉぬ
うぉぬ
あなたさん、
うぉぬ
うぉぬ
僕の彼女になってくれますか?



頭に暖かい感触が伝わる。




うぉぬ先輩になでられていた。





(なまえ)
あなた
好きです、先輩
(なまえ)
あなた
先輩の彼女に…ならせてください
うぉぬ
うぉぬ
もちろん





その後先輩はこう言った。





うぉぬ
うぉぬ
僕のこと、全部教えてあげるね






今日教えてもらったことは、
















先輩のキスはすごく優しくてあったかいってこと。










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