第47話

2/3の記憶 最終話
680
2023/08/24 08:44
目黒side



俺はやっと翔太君を見つけた。


でも、直接連絡をとると逃げられそうなので、会社の人に2か月かけて協力してもらうことにした。




最初、会社の人は翔太君が昔の知り合いには話さずに ここに来たと知り、警戒された。

そして本人の許可なく、俺への協力は出来ないと言われた。



俺は幼馴染で、大切な人が勝手にいなくなったので、心配していると伝えた。

彼は悩んだあげく、協力してくれた。

目黒蓮
あのさ、勘違いしてる
渡辺翔太
勘違い?
目黒蓮
俺と彼女、付き合ってない
渡辺翔太
はあ!!! 
お前何やってんだよ! 
告白したんだろ!
目黒蓮
してない
渡辺翔太
はあ!!!!



翔太君は俺の胸倉掴んで睨みを利かせてきた。

そんな翔太君を俺は真っ直ぐに見つめた。

目黒蓮
彼女、最初 本当に悲しんでて… 
でも、俺はそんな彼女を慰めることが出来なかった
渡辺翔太
なんで!
目黒蓮
俺も悲しかったから
渡辺翔太
えっ
目黒蓮
俺自身、翔太君がいなくなって悲しくて、会いたくて、彼女を気にする余裕もなくて
渡辺翔太
お前 何やってんだよ
目黒蓮
そんな時、彼女を支えたのが翔太君の後輩の彼。
最近だけど 彼女は彼と付き合ったんだ
渡辺翔太
お前な… 
何してんだよ。
お前なら 絶対に…
目黒蓮
俺が落ち込んでた時に彼女に言われた。
自分と一緒だって
渡辺翔太
どういう意味だよ
目黒蓮
彼女と俺は同じ
渡辺翔太
だから!
目黒蓮
それって 恋でしょって
渡辺翔太
えっ?
目黒蓮
俺が寂しいのは、
俺が翔太君に会いたい思いは、
彼女より翔太君が気になるのは、
目黒蓮
俺が翔太君を
好きな証拠だって



翔太君は黙って俺を見た。

少し困った顔をしている。


翔太君に告白された時の俺もこんな顔だったのかな…


目黒蓮
さっき、電話した。
翔太君を見つけたって
渡辺翔太
目黒蓮
頑張れ!って背中押してくれた
渡辺翔太
あの…

何 言っていいのか分かんないんだろうな。


目に見えてアタフタしてる。

ちょっと笑える。


俺は、さんざん俺に寂しい思いをさせたこの人に意地悪をしたくなった。
目黒蓮
ねえ、
俺の事、
ずっと好きだったんでしょ
渡辺翔太
えっ
目黒蓮
俺、
翔太君の事、
好きなんだけど
渡辺翔太
あの…
目黒蓮
あのさ



俺は笑って見せた後、俺より少し小さい彼の耳元を唇を寄せて囁いた。

目黒蓮
俺の事、好きなくせに。
なに、逃げてんだよ


すると翔太君はムカついたのか俺を睨んで言った。
渡辺翔太
自惚れんな!


あ~。やっぱ、素直じゃないな。




よし!

俺は翔太君の顎に手を置き、顔を上に向かせて俺の顔を見させると言った。


目黒蓮
もう一度言ってよ。
俺の事、ずっと好きだったって。
言わないなら ここでキスする。
けっこう人いるけど(笑)



すると翔太君の目が泳いだ。



時々オラオラで、時々照れ屋な彼は、恥ずかしくなったのか、速足で歩き出すと、路地裏に入って行った。



ちょっと想定外の行動で、怒らせてしまったのだと俺は慌てて追いかけた。

路地裏に入って、一瞬見失った翔太君は、物陰に俺を引っ張って言った。

渡辺翔太
後悔すんなよ。
ずっと好きだったんだからな


そう言って、いきなり唇を奪われた。




やばっ!

想像以上に可愛いじゃん。



一瞬のキスの後、翔太君は俺から離れると恥ずかしそうにした。



そんな翔太君の腕を引き、俺からキスをする。

俺の今の気持ちを全部知って欲しい。



どれだけ好きか

どれだけ寂しかったか

どれだけ愛おしくて堪らないか



俺の愛を全部知って欲しい




すると、やっぱり翔太君は想定外の行動に出てきた。

俺に負けじと、翔太君の愛情をキスで伝えてきた。




子供の頃の俺たちは、想像もしなかっただろうな

目の前にいる友人だと思っていた大切な人が


こんなにも愛おしく、
胸を熱くさせる存在になるなんて




どのくらいキスをしたのだろう。


二人で息を切らし、おでこを付き合わせると、二人で同時に笑った。





そして、どちらからともなく呟いた。

「すきだ」って

プリ小説オーディオドラマ