目黒side
俺はやっと翔太君を見つけた。
でも、直接連絡をとると逃げられそうなので、会社の人に2か月かけて協力してもらうことにした。
最初、会社の人は翔太君が昔の知り合いには話さずに ここに来たと知り、警戒された。
そして本人の許可なく、俺への協力は出来ないと言われた。
俺は幼馴染で、大切な人が勝手にいなくなったので、心配していると伝えた。
彼は悩んだあげく、協力してくれた。
翔太君は俺の胸倉掴んで睨みを利かせてきた。
そんな翔太君を俺は真っ直ぐに見つめた。
翔太君は黙って俺を見た。
少し困った顔をしている。
翔太君に告白された時の俺もこんな顔だったのかな…
何 言っていいのか分かんないんだろうな。
目に見えてアタフタしてる。
ちょっと笑える。
俺は、さんざん俺に寂しい思いをさせたこの人に意地悪をしたくなった。
俺は笑って見せた後、俺より少し小さい彼の耳元を唇を寄せて囁いた。
すると翔太君はムカついたのか俺を睨んで言った。
あ~。やっぱ、素直じゃないな。
よし!
俺は翔太君の顎に手を置き、顔を上に向かせて俺の顔を見させると言った。
すると翔太君の目が泳いだ。
時々オラオラで、時々照れ屋な彼は、恥ずかしくなったのか、速足で歩き出すと、路地裏に入って行った。
ちょっと想定外の行動で、怒らせてしまったのだと俺は慌てて追いかけた。
路地裏に入って、一瞬見失った翔太君は、物陰に俺を引っ張って言った。
そう言って、いきなり唇を奪われた。
やばっ!
想像以上に可愛いじゃん。
一瞬のキスの後、翔太君は俺から離れると恥ずかしそうにした。
そんな翔太君の腕を引き、俺からキスをする。
俺の今の気持ちを全部知って欲しい。
どれだけ好きか
どれだけ寂しかったか
どれだけ愛おしくて堪らないか
俺の愛を全部知って欲しい
すると、やっぱり翔太君は想定外の行動に出てきた。
俺に負けじと、翔太君の愛情をキスで伝えてきた。
子供の頃の俺たちは、想像もしなかっただろうな
目の前にいる友人だと思っていた大切な人が
こんなにも愛おしく、
胸を熱くさせる存在になるなんて
どのくらいキスをしたのだろう。
二人で息を切らし、おでこを付き合わせると、二人で同時に笑った。
そして、どちらからともなく呟いた。
「すきだ」って
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。