阿部side
佐久間が泣きながら俺の後を追いかけてきた。
その顔を見て、確信したんだ。
やっぱり佐久間が好きだ。
愛おしくてたまらない。
なぜ泣いていたのかは分からない。
でも、俺は佐久間を守りたいって思ったんだ。
佐久間が泣いていたら、その涙は俺が拭ってあげる。
俺の腕の中で思いっきり泣いて欲しい。
強がらなくていい。
俺の前では、アイドルじゃない佐久間で、感情に素直なままでいて欲しい。
仕事を終えた後、二人で散歩がてら歩きながら帰ることにした。
佐久間は黙ったままだった。
俺もあえて話しかけなかった。
すると佐久間が突然、スマホを取り出し、電話をかけた。
不思議に思っていると、俺のスマホに佐久間から電話がかかってきた。
隣りにいる佐久間を見ると、佐久間は少し寂し気な笑顔を見せた。
それを見て、俺は通話ボタンを押した。
俺は驚いて佐久間の顔を見た。
すると佐久間が俺の顔を見ながらスマホで話を続けた。
あれ。泣いてる…
俺 泣いてる。
俺、こんなに佐久間が好きなんだ。
すると佐久間はスマホをポケットにしまって、俺と向き合うと俺の涙を拭いた。
佐久間はそう言って無理やり笑った。
俺は佐久間を抱きしめた。
すると佐久間は花が咲いたようにパアっと華やかな笑顔を見せた。
あ~。愛おしい。
可愛くてたまらない
これは俺の彼女って事?
彼氏か?
俺の中にすっぽり収まったはずのピンクの頭がモソモソ動き出した。
そう言って頬を膨らませて佐久間は怒ってみせた。
なんてアザと可愛いやつなんだ。
すると佐久間は嬉しそうに言った。
俺は周りを見渡し、人気のないとことに佐久間の手を引いていった。
そして軽くキスをすると、言った。
俺たちは、最高の笑顔で、友達をやめた。
そして、今日からは恋人だ。
どっちが彼氏? って問題はあるけど…
それもゆっくりね。
時間をかけて、
この先も
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。