notあなたの下の名前side
携帯を見た瞬間驚いた
電話をかけてきたやつが “ 及川 あなたの下の名前 ” だったからだ
“ 及川 あなた ” は
今から6年前、
中学生で1番上手いセッターと呼ばれてた
あなたにバレーを教えたのは
うちのじいさんで、
小さい頃は一緒にバレーをやってた。
俺の方が年上で、先にバレーしてたってこともあるのか
いつも俺の後ろをついてきてた
最後に会ったのはだいぶ前だし、
最後に声を聞いたのも、6年前だ。
でも、
最後に聞いた声は、
本当に弱々しい声だった。
今でもよく覚えている
あれ以来、声も聞いてなかったし、
関わりもなかった。
家に居ないことだけは明らかだったが、
何処にいるかも分からなかった。
その 及川 あなた から今連絡がきてる
俺は、迷いもなく電話をとった。
久しぶりに聞いたあなたの声は
6年前に聞いた最後の声より
明るくて…
昔、一緒にバレーやってた時のような
元気そうな声だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。