有岡side
自分に多少呆れながらも入浴剤を開けると
何だろう、この安心する 心が落ち着く匂いは
まるで誰かに 包まれている かのよう
あぁ思い出せない
それから入浴の間ずっと考えていたが
何も答えが出せないままローズの香りに包まれているだけだった
.
.
思い出せない自分にだんだん腹が立ってきた
すると、
山田は一礼するとすぐ去ってしまった
その時山田から何か落ちてきた
ダメだ 行ってしまった
ハンカチ、か
すると香りが漂ってくる
この落ち着く匂い さっきも嗅いだような…
入浴剤。あの時渡してくれたハンカチ。
今、ようやく答えが導き出せた
そうかあの匂いの正体は山田だったのか
俺はしばらくの間その場で立ち止まってしまっていた
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!