第5話

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2021/09/11 02:40
俺とハルの出会いは、やっぱり、偶然やったんやろうか?
それとも、これも、運命の出会いと言うのやろうか?

これが、ハルと、果林との出会いやった。
2年後、念願の独り暮らしをすることに決めた俺は、無事、東京の音大に合格。
そしてあのとき、再会を誓った果林との再会と、俺の夢を左右する仲間との出会いにまだ、気づいてなかったんや
大学に入学する1週間前やった
引っ越しの準備も整って、外へ出て深呼吸をした。
さっき、おかんに
洋一のおかん
洋一のおかん
あんた、ほんまに大丈夫なん?
って、電話で言われたけど。
洋一
洋一
大丈夫やって。それより、おかんも多田さんと仲直りせなあかんで?
多田さんというのは、おかんの再婚相手。
洋一のおかん
洋一のおかん
わかった。体に気をつけて頑張るんやで?
洋一
洋一
うん、おかんもな
多田さんのことを、2年経った今でもお父さんって、呼べないじぶんがいる。
彼のことは嫌いやない。


洋一
洋一
まぁ、いつかちゃんと呼べる日が来る・・・よな?
ほとんど、独り言を発して、外に出たときやった。
果林
果林
こら!待ちなさい!
子供たち
わぁ~い
子供が、2、3人と、女・・・・が一人俺の前を通りすぎていきおった。
洋一
洋一
ん?今のは・・・
見たことあるような?

と、彼女も俺に気づいて立ち止まり振り返った
洋一
洋一
あー
彼女も、俺に近づき、
果林
果林
あなたは、あのとき歌ってた人・・・
たしか、洋一君・・・だっけ?
洋一
洋一
あぁ、君は、果林やろ?
覚えててくれたんや
果林
果林
そっちこそ・・・
子供たち
お姉ちゃんの彼氏?
さっき、逃げていったはずの子供たちが戻ってきていて俺たちを、冷やかす・・・
今時のガキは・・・
子供たち
ふたりって、ラブラブなの~?
果林&洋一
えっ?
果林
果林
そんなわけないでしょ?今日で、会って、2回目なんだから
子供たち
なんだぁーつまんない
そう、いうと
果林
果林
ったく、ほら、手を洗って部屋に、入って?レッスン始まるわよ?
彼女が子供たちを、促すと、
子供たち
はぁーい
と言って、素直に部屋に入っていった。
俺は、内心嬉しかった。
彼女ともう一度会えたこと。
名前をちゃんと覚えてくれていたこと。
彼女が・・・
果林が・・・
俺の初恋の人やったんやと思う。

そしてお俺と果林は、あの公園に行った。
洋一
洋一
じゃあ、俺と同じ大学なんや
果林
果林
でしょう?
だから、また会うって言ったじゃない
洋一
洋一
これって、偶然なんかな?
果林
果林
えっ?
洋一
洋一
運命って、言わんかな?
果林
果林
・・・・?
洋一
洋一
ははは、いや、でも、果林・・・さんはなんで音大受けようと思ったん?
果林
果林
ピアノの先生になろうと思って
洋一
洋一
ピアノの先生か。うん、向いてるわ。指、綺麗やしな
果林
果林
それって、ほめてくれてる?
洋一
洋一
も、もちろん誉めとるつもりやけど・・・
俺は、真っ赤になりながら俺精一杯の誉め言葉を、いうたつもりやった
果林
果林
フフフ、ありがとう。わたしね、子供たちに、音楽の楽しさを、教えたいなって
洋一
洋一
じゃあ、さっきのは生徒さん?
果林
果林
ううん、妹と、弟よ。まだ、小学生で、年離れてるし、母がね、ピアノ教室やってるの。
洋一
洋一
そうやったんや
果林
果林
ねっ、機会があったら遊びに来てよ!せっかく友達になったんだし
洋一
洋一
あぁ、うん
そのとき、思った。
彼女のすべてが知りたいって。
例え、会って2回目であっても・・・・
洋一
洋一
🎶君のすべてを知りたくて街をさまよい続ける僕の思いを空に届けたらー🎶🎶🎶🎶
そんな、フレーズの歌をいつも通り、ギターを弾きながら、歌っていた。
ハル
ハル
ええ声しとるな、兄さん
洋一
洋一
えっ?
また、急にに呼び止められて・・・?
いや、声かけられて演奏を止める。
今の声は、果林やない・・・・
どう考えても、男の子の声や。
声のする方へ向くと、
ハル
ハル
俺さぁ、春樹って言うんやけど・・・・君の、その声と、ギター、買うた!
洋一
洋一
はぁ?
俺は、訳もわからず、そいつに聞き返す。
ハル
ハル
いや、いきなり買うたって、言われても困るか・・・
その男・・いや、春樹ってやつは、俺らと同じ年くらいに見えた。
洋一
洋一
あ、あんさんなに言うとるんや
ハル
ハル
あー、君、関西人か
洋一
洋一
えっ?
ハル
ハル
なんや、ちょうどええわー
洋一
洋一
はい?
さっきから、自分のペースで事を進めようとする春樹ってやつ。
果林は、俺と春樹のやりとりを隣で黙ってみている。
果林
果林
あなた、どっかでみたことある。
洋一
洋一
えっ?果林、こいつのこと知っているんか?
ハル
ハル
そうやろ?なぁ、兄ちゃん、ちょっと俺に付き合わんか?
洋一
洋一
兄ちゃんやないわ。俺は、多田洋一って言う名前があるんや
ハル
ハル
洋一君、君さぁ俺らのバンドに入らへん?
洋一
洋一
はい?
また、突拍子な事を言う春樹に
果林
果林
わかった!
と、突然、果林が口を挟み、
果林
果林
あなたって、「SEASONS」って言うバンドのハル?
ハル
ハル
ピンポーン!正解ー!
洋一
洋一
えっ?
俺は、信じられやんかった。
ハル
ハル
ええから、ふたりともこっちきてや
俺と果林は言われるがまま、ある一室に案内された。
それは、バンドメンバーが自由に練習できる場所。
洋一
洋一
あの・・・さ
ハル
ハル
改め自己紹介するわ。俺は、桜井春樹。
言われた通り、「SEASONS」のメンバー。
「SEASONS」って名前は、俺も他のメンバーも名前に季節が入ってるからなんや。俺のあだ名は、“ハル”
よろしく
ニコって笑うと、
ハル
ハル
さっきから、俺のペースばっかりですまんな。
でも、ひとつ気になってたこと言うてエエかな?
洋一
洋一
なんや?
ハルは、果林に近づき、
ハル
ハル
君は?
女の子の方。
洋一君の彼女?
果林&洋一
えっ?
俺と果林は、同じ反応を、した。
その質問は、2回目・・・
洋一
洋一
ちゃいますよ。まだ、おうて2回目なんで
ハル
ハル
へぇ?でも、さっきから二人、仲ええし、俺、てっきり付き合ってるんかと思った
洋一
洋一
んなわけないやろ
けど、そう言う俺の態度に、ハルは鋭いツッコミを入れる
ハル
ハル
ふぅ~ん、2回目ねぇ・・・・
そのときから俺の気持ちは、ハルにバレバレやった。
俺は、気づいてへんかった。
果林と、ずっと手を繋ぎっぱなしだということを・・・
俺は、気づいて離した。
洋一
洋一
す、すまん、果林
果林
果林
えっ?うん・・別にいいけど・・・
ハル
ハル
やっぱり、怪しいな二人、2回目なんて嘘やろ
洋一
洋一
あ、あのさ・・・ハル、誘ってくれたのはうれしいんやけど、俺は、名前にも、名字にも、季節が、入ってへんから
ハル
ハル
そっか・・・わるかったな。
あっ、でも、せっかく来てくれたんやし、俺らの演奏を聞かせるわ!
覚えとって!
また、会うかもしれやんやろ?
それは、聞きたいかも
ハル
ハル
紹介するわ。こいつは、キーボードの、ケン。名字が、夏木なんや。で、ドラムの秋人。そして、ベースの哲。哲の名字は、冬田やから。
洋一
洋一
初めまして、多田洋一と、言います
ハル
ハル
よし、みんな、二人は特別に、ご招待されたお客様や。俺らの演奏を聞かせてあげようぜ!
1.2.3

ドラムもキーボードの歌も激しい音だけど、ハルの歌声が、それをカバーするかのように、乗っていた。

果林は、その曲を聞きながら、
果林
果林
ねぇ?洋一も、いつかあんな風にバンド組みたいんでしょ?
いいの?断って
洋一
洋一
うん、残念やけど俺は・・・・
ハルの音楽を聴いて、世界が違うって思った。
洋一
洋一
あ、あの、そろそろ帰ります
一通り演奏を終えた彼らに、そう告げた。
ハル
ハル
洋一、またどこかで会えるとええな
その言葉は、果林と一緒やった。
ハル
ハル
っていうか、いつでも遊びに来いよ
洋一
洋一
俺は、来週から大学生やから。
ハル
ハル
おー!偶然やなぁー、俺もなんや
同じ大学やったりして
洋一
洋一
そ、それは、ないと思うけど・・・・
ハル
ハル
でも、会える気がする
洋一
洋一
えっ?
ハル
ハル
そんな気がするだけや

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