第8話

7、洋一の章
11
2019/10/27 21:27
その曲は、俺と果林と、ハルがよく音楽室で、口ずさんでいた曲。
俺と借りんとハルの10年間を、俺は、振り返っていた。



大学の入学式を終えて、クラス分けが行われた。
そこには、なんでかハルの姿もあって・・・
ハル
ハル
おー!お二人さん、こんにちは
洋一
洋一
ハル・・・
果林
果林
ハルくん!
ハル
ハル
やっぱり君は、俺らのバンドに入るべきや。
洋一
洋一
いや、だからぁー、俺は、なにも季節に関係ないって・・・
ハル
ハル
君さぁー、俺と同じ誕生日なんやな。
洋一
洋一
・・・・!?
いつの間にか、生徒手帳を、抜き取られている
ハル
ハル
1978年、4月4日・・・・
春生まれ・・・
洋一
洋一
ど、どこでそれを拾ったんや!
ハル
ハル
それと、もうひとつ
洋一
洋一
返してや!
ハル
ハル
お前の旧姓は、春野・・・
洋一
洋一
えっ?それ、どうやって知ったんや
それは、誰にも話してないはず・・・
ハル
ハル
お前と同じ出身校のやつに、聞いたんや。
洋一
洋一
俺と、同じ出身校のやつおったんや・・・俺一人やと思ってたわ
でも、旧姓の話はなんで知ってるん?
ハル
ハル
さぁね
洋一
洋一
ん?
ハル
ハル
まぁ、ええやん。それより、決まりや!
洋一
洋一
えっ?決まりって?
ハルは、俺を指差して言う。
ハル
ハル
このあと
俺らの部屋に集合や!時間厳守やで?
洋一
洋一
ハル・・・・
ハル
ハル
ええから、こいよ?絶対やで?
洋一
洋一
でも・・・
ハル
ハル
果林ちゃんだっけ?
君も来てくれるんやろ?
果林
果林
えっ?いいの?もちろん、いく!
嬉しそうな果林の答えに、俺は、少し胸がチクっとした。
ハル
ハル
洋一、来てくれるやんな?
いつの間にか、呼び捨て・・・
洋一
洋一
うん、わかった。
そして・・・

ハル
ハル
ただいま~
健
おー!ハル、おかえりー
どうだった?入学式は
ハル
ハル
つまらんかった。はよ歌いたくて仕方なかったわ
秋人
秋人
お前、アイドル・・・って、ばれなかったのかよ。ばれないもんだよなぁー
そう、言いながら、俺の存在に気づいた秋人って人。
秋人
秋人
君は、たしか、洋一・・・
洋一
洋一
はい
ハル
ハル
みんな、聞いてくれ、洋一は、今日から、仲間や
健
えー?マジ。入ってくれるの?
洋一
洋一
いや、俺は・・・
ハル!!勝手に決めるなよ
ハル
ハル
洋一、バンド組むの夢なんやろ?
洋一
洋一
そうやけど・・・
果林
果林
いーじゃない、洋一
ハル
ハル
そうやで洋一、お前は今日から「SEASONS」のメンバーや
洋一
洋一
でも、俺は・・・・
ハル
ハル
最初に言うたやろ?お前のその、“歌声”と、“ギター”買うたって
洋一
洋一
えっ?それって、冗談じゃ・・・
ハル
ハル
そんなわけないやろ?買うたからには、メンバーに入ってもらわなな
洋一
洋一
・・・・・
ハル
ハル
君の夢、すぐ叶えたるわ
洋一
洋一
でも、俺・・・
ハル
ハル
君は、メインボーカルや
洋一
洋一
ま、待てや
いきなりボーカルにされても・・・
ハル
ハル
まずは、お前の音楽聞かせてくれやんかな?合格か、不合格は、それで決めるわ
洋一
洋一
・・・・
ハルの強引さに、なにも言えなくて・・・
だから、俺は、断れずに歌った。
チャンスやと思い始めたんや。
洋一
洋一
🎶🎶🎶🎵🎶🎵🎶🎶🎶
ハル
ハル
これが、君の音楽か
秋人
秋人
やさしい曲やな
健
うん、俺もそう思う。君のその歌声にマッチしてる
俺が、歌ったあと、そんな感想をくれたメンバーたち。
ハル
ハル
よし、今度オーディション受けてみてよ。俺たちが、合格なんぼだしても、プロデューサーとかにもきいてもらわんとな!
洋一
洋一
うん・・・・
俺の、夢への第一歩やった。

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