第10話

9、ハル、帰国
14
2019/10/30 22:41
洋一
洋一
あっ、はい・・・
果林の章


洋一、あなたは優しかったね。
子供のときもそうだった。
怪我して泣いてたわたしを、元気づけるるために、花をくれた。
子供ながらも、ちゃんと女の子の気持ちがわかる、優しい人だった。

あたしね、嬉しかったんだよ?
あなたに・・・
洋一にあえて・・・、同じ大学に入れて・・・
彼はわたしを、覚えていなかったみたい・・・

わたしとの出会いが2回目だってこと。

でも、優しいところは、変わらなかった。
照れ屋で、不器用で一途なまま、大きくなった。
彼といると安心できたの。
嫌なことも忘れられる。
わたし、やっとわかったんだ。
わたしにとって、必要な人は、洋一なのかもしれないって。
振り向けば、彼がいたからわたし、乗り越えられたの。
辛いことも、悲しいことも、うれしいことも・・・・楽しいことも・・・

全部一緒に乗り越えてきたの・・・

やっと気づいたのに・・・・

3年生の秋やった。
俺と果林は、あの公園に行き、歌を歌ってた。
ハルからの手紙は、春から途絶えていた。


そして、バンド活動も順調で、来年の春に、初ライブが、決定していた時やった。
洋一
洋一
🎵🎶🎵🎶🎶🎶🎶🎶
ハル
ハル
兄ちゃん、ええ声しとるなぁ、
洋一
洋一
おおきに
ん?聞いたことある声・・・と、シチュエーション・・・・まさか・・・
ハル
ハル
その歌声とギター、買うた!
洋一
洋一
えっ?
あのときと同じ台詞!
やっぱり!
ハル
ハル
よっ!ただいま、洋一、果林
洋一
洋一
ハル!!!!
果林
果林
ハル君!
ハル
ハル
そ、そんなにびっくりせんかてええやん
洋一
洋一
れ、連絡ぐらいしろや。突然でビックリするやろ?
ハル
ハル
ええやん。突然の方が、運命の再会や、感動の再会みたいやし
果林
果林
ハルくん・・・
果林がまた、泣きそうな顔でいる。
ハル
ハル
果林、ただいま。
果林
果林
うん、おかえり・・・・
二人の様子を見て、俺は、守る役目は終わった

果林は嬉しくて泣いている
果林
果林
お帰りなさい、ハルくん・・・・
ハル
ハル
なんや、果林。泣くことないやん
果林
果林
だって・・・・
洋一
洋一
お前にあえて、嬉しいんや。
ハル
ハル
そっかぁー、おおきに。
彼は、迷わず果林の頭をよしよししてる。
洋一
洋一
突然帰ってくるから、なんかあったんか?
ハル
ハル
やっぱり、お前らと一緒にいたくてさ・・・あと2ヶ月の予定やったけど、急いで帰ってきたんや
果林
果林
ハルくんってば、見かけによらず寂しがりやなの?
ハル
ハル
そんなんやないわ。
それよりさぁ~
洋一
洋一
ん?なんや
ハル
ハル
それはそうと、二人でここにおるってことは、なに?お前ら、デートの途中やろ?
果林&洋一
違うから
ハル
ハル
怪しい~二人で声、揃えて
洋一
洋一
だから、違うってば
今度は俺一人やった。

そのときに、悲しそうな顔をした果林に、気づかずにいた俺・・・
だけど、それに、気づいていたんは、ハルの方で・・・・
ハル
ハル
ふーん・・・
果林
果林
・・・・
ハル
ハル
果林、お望み通り早く帰ってきたったで?
果林
果林
えっ?
ハル
ハル
洋一、鈍いから、気づいてへんみたいやで?
ふたりは、こそこそと話している
果林
果林
は、ハルくん、わたし・・・
ハル
ハル
久しぶりに、3人で、飯でも食いにいかへん?
果林
果林
うん!いく!じゃ。よういしてくるね
果林は、家に一旦帰ってしもた。
ハル
ハル
洋一、ほんまにデートの途中やないんか?
洋一
洋一
ちゃ、ちゃうわ。なんやしらんけど、ケンと、秋人が、ここで、ミニライヴでもしようにと、言うとったのに、キャンセルしおって。
ハル
ハル
二人きりにさせられたって、わけか
洋一
洋一
俺は、ええから。二人きりで食事いってきたらどうや?
ハル
ハル
ええんか?俺とふたりでも
洋一
洋一
ええよ。
ほな、楽しんできてや。
果林
果林
あれ?洋一は?
ハル
ハル
なんやしらんけど、帰ってしもたわ
果林
果林
洋一ってば、何気を使ってるの
ハル
ハル
まぁ、ええやん。どこ行く?
俺は、逃げたかったんかもしれやん。
あいつら二人を見るのが辛かったから。


それから俺たち3人は、忙しい日々が続いてなかなか一緒におれやんかった。


時々果林が、ハルと何かを話しているのを目にした。
俺は、もう二人の間に入らんことにした。



そんなある日のことやった。
静香
静香
ここに、春樹って人、いる?
洋一
洋一
あっ、はい
すごく、綺麗な人・・・・
秋人
秋人
静香さん?
健
静香さんじゃん
洋一
洋一
えっ?二人知り合いなんか?
ケン&秋人
し、しまった!
洋一
洋一
あの、あなたはハルの・・・
静香
静香
ハルの彼女の時野静香と、言います
洋一
洋一
えっ?彼女?
ハル
ハル
ごめん、遅れて・・・・
静香
静香
ハル・・・・
会いたかった!
その静香と言う人は、迷わずハルにキスをする・・・
洋一
洋一
・・・・!?
衝撃過ぎて何も言えやんかった。
果林
果林
・・・・・!!
無論、果林も、思わず立ち上がる
健
あーあ、バレちゃった
秋人
秋人
そりゃあ、キスすればバレるって
哲
なにやってんだよ
ハル
ハル
洋一!すまん
果林
果林
・・・・
洋一
洋一
果林!
俺は、すぐ、果林を、追いかけた
洋一
洋一
待ってや、果林
果林
果林
知ってたよ、わたし
洋一
洋一
えっ?
果林
果林
ハルくんに、彼女がいること、知ってた・・・・
その頃、楽屋では
秋人
秋人
ハル、知らないのたぶん、洋一だけだよ
健
あいつさー、果林ちゃんへの気持ち、抑えちゃってるんだよ、きっと
果林
果林
あははー、でもやっぱりショックだな~
あんな綺麗な人だとは、思わなかった・・・・
自分では諦めてたはずなのにな・・・
なぜだか泣こうとしない果林
洋一
洋一
泣いてもええで?
果林
果林
・・・・
洋一
洋一
お前が辛いときは、そばにおるって言うたやろ?

なっ?
果林
果林
洋一、優しいね
洋一
洋一
俺は、もともと優しいんや
果林
果林
ありがとう、洋一
このときから、果林の気持ちは、他の方向いてたなんて、気づいてもいなかった。

果林の気持ちは、ずっとハルに向いてるって、俺は、思い込んでいたから。
果林
果林
ねぇ?洋一は?
洋一は、好きな人いないの?
洋一
洋一
なんや、急にそんなこときいて
果林
果林
いるの?いないの?
答えて!
洋一
洋一
・・・・いるよ
果林
果林
えっ?
洋一
洋一
ずぅーっと、そいつがすきや
果林
果林
なっ
洋一
洋一
ん?
果林
果林
なんだ、いるんじゃん
バシッと、叩かれた。
痛いんやけど。
洋一
洋一
い、いたら悪いのか?
果林
果林
べ、別にそういう話し、したことなかったなぁって
洋一
洋一
なんやそれ
果林
果林
女の子に興味ないかと思ってた
洋一
洋一
果林と話しとるやん
果林
果林
そうだけど・・・・
洋一
洋一
授業、始まるで?
果林
果林
・・・うん
わたし、へんだ。
彼に好きな人がいるって聞いただけで胸が痛いなんて・・・・
ハル
ハル
果林、どうしたんや
果林
果林
ハルくん、わたし・・・・
ハル
ハル
えっ?果林?
どうしてだか涙が止まらなかった。
でもハルくんは、それを察するかのように、笑っていた。

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