第3話

2枚目
204
2018/04/02 08:23
あなた

おぉ……?

私は、暗い空間で一人、何かを持って佇んでいた。

何だろう……銃?
あなた

って、さっきの男の子は

機械
ウォオー!
あなた

……え?

音源に目を向ける。

それは大きなディスプレイで、気持ちの悪いゾンビたちがこちらへ呻き声を上げながら迫ってきていた。

はっ、はいぃ!?
あなた

えっ、あっ、これで撃つのか!!

即座に推測して、私は右手に握る銃で次々と現れるゾンビの頭を撃ち抜いていった。

私はこのゲームをよくプレイしていたのだろうか。体に染みついた動きで、正確にゾンビの頭を撃ち抜ける。

……しかし、なかなかグロテスクなゲームだ。これを好きだった私は一体……と、何とも言えない気持ちになりながらゾンビを倒した。


結果は、記憶がない(=ゲームの経験がない)からか、あまり良くなかった。
あなた

あー…………

行人
どうだった?
あなた

急に後ろから声がして、ドキンと心臓が跳ねる。

突然で驚いたというだけではない。その声があまりに落ち着いていて、色っぽかったからだ。

振り返ってみると、声の主と思われる背の高い男の人が、私にニコッと笑いかけていた。
あなた

あ……あんまり良くなかったです

行人
あはは、敬語いいって言ったじゃん。まだ慣れてないの?
あなた

……えっ、と……ごめ、

行人
それとも……ドキッとした?オレの
“声”にさ
耳元で、魅惑的な低音に囁かれる。

私は真っ赤になって固まってしまい、何も言えなかった。
リュウ
「こっちの彼」は刺激的だねぇ
あっ、リュウ!……と思ったが、口には出さなかった。

もう変に思われたくはなかった。
リュウ
そうそう、言い忘れてたけど君はモテてね。主にさっきの彼・『星夜』くんとこの彼・『行人』くんに。
更には、君は片方と付き合ってたんだよ
あなた

……えっ!?

男の人がビクッと肩を揺らした。

あ、ごめんなさい……うるさかったよね。
リュウ
そうなるよねぇ。でも本当なんだよ
くっくっと喉を鳴らして笑いながらリュウが言う。

ちょっと、何笑ってるの。
リュウ
君はこれからまだまだたくさんの記憶を取り戻していくけど、
“前と同じ彼を選ばなくても構わない”。
『今』の君が好きな方を選ぶといいよ
あなた

……え

リュウ
さあ、次の記憶だ。扉が開くよ
その声を最後に、私の意識は消えた。

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