12月25日。雪。
ホワイトクリスマスだ。
夏樹はそう言いながら雪の上を走り回る。
すると、近くにあった木から夏樹の頭に雪が降る。
ぼふん、と音がした。
夏樹は驚いて、その場から凄い勢いで逃げた。
──────あ、駄目だ。
僕は、お腹を抱えて笑った。
すると、夏樹は目を丸くして僕を見ていた。
....へ?
夏樹はその言葉を見せながらぴょんぴょん跳ねた。
本当に、嬉しそうだった。
夏樹は無邪気な顔で笑う。
それを見て、思う。
「夏樹に会って、変わったな。」
僕は夏樹に会ってから、色んな所へ行ったり
色んな話をした。
世界が、一瞬にして変わったのだ。
あの日の屋上で、夏樹と会ってから─────
夏樹は難しい顔をする。
ねぇ、夏樹。
そんな考えなくても、大丈夫だよ。
だって...
気付いたから。
どうやって笑えばいいか。
分かったから。
“笑う”とは何か。
夏樹は微笑んだ。
────久しぶりに、僕も微笑んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。