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第14話

ふぉーてぃーん
12月31日。くもり。







年末だ。

なのに...
西風 柚希
『年末まで夏樹の通訳やる必要あった?』
桜島 夏樹
『うーん、あんまないかも。』
西風 柚希
『え、じゃあ何で...』
桜島 夏樹
『なんか、一緒に年越したいなーって!』
な、なんか...?
桜島 夏樹
『ま、いーじゃん!』
桜島 夏樹
『柚希と年越しできるの、嬉しいよ?』
西風 柚希
....
西風 柚希
『よく平気でそんな恥ずかしい台詞言えるよな。』
桜島 夏樹
『ブーメランですよ。それ。』
....?
桜島 夏樹
『っていうか!』
桜島 夏樹
『何でくもりなのー!』
僕は、ほぼ反射的に空を見上げる。


───────暗い。

黒い雲が夜空を覆っている。


周りには、除夜の鐘が鳴り響いている。
桜島 夏樹
『初日の出見れないじゃん!』
そう。僕らは初日の出を見る為に、近くの
展望台へ来た。
西風 柚希
『じゃ、帰ろ。』
桜島 夏樹
[え、ちょ...!]
僕は夏樹に背を向けて歩き出す。
桜島 夏樹
[ま、まって!行かないで!]
西風 柚希
『何で?』
桜島 夏樹
[え、えっと...]
夏樹は顔を赤くした。
桜島 夏樹
[独りだと、寂しい...]



───────本当、僕って変わったなぁ。


西風 柚希
はははっ!
西風 柚希
『嘘だよ。ちょっと意地悪した。』
桜島 夏樹
[え....]
僕はいたずらっぽく笑う。
桜島 夏樹
『柚希が笑ってるの見れてめっちゃ嬉しいけど、意地悪されたのは何かちょっと...』
桜島 夏樹
『悔しい。』
すると突然、夏樹は僕の頭をガシッと掴んだ。

そして、髪をわしゃわしゃと掻き回した。
西風 柚希
わっ!ちょ、
桜島 夏樹
[柚希も可愛くなったもんだなぁー。]
桜島 夏樹
[今のは意地悪のお返しだからね!]
夏樹は笑った。
西風 柚希
[そりゃどうも。]
僕も笑う。



もうこんなの、日常だ。



僕は笑える。

笑えるようになった。



それは全部、全部、夏樹がいたから──────






ゴーン







今年最後の除夜の鐘が鳴った。
桜島 夏樹
西風 柚希
『鳴ったよ。除夜の鐘。』
音のない世界にいる夏樹に、そう教えた。
桜島 夏樹
『おお!新年、明けましておめでとうございます✨』
語尾にキラキラが付いてる...
西風 柚希
『おめでとう。』
そして僕は、何となく展望台から景色を眺める。
西風 柚希
......あ、
桜島 夏樹
西風 柚希
『見て。』
僕は景色の向こうを指差す。


──────綺麗な朝日が顔を出していた。


空が、晴れている。
桜島 夏樹
....
夏樹は無言だけど、ちゃんと分かる。



夏樹の目が言ってる。

『綺麗だね。』








僕も、目で伝える。

『うん。』





















『今までで一番、綺麗だよ。』