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第6話

しっくす
6月26日。雨。





西風 柚希
はぁ...
今日は、夏樹とショッピングモールに
行く予定だ。

まったく。特別なことはしないって言ったハズ
なのに...
西風 柚希
待ち合わせまであと5分...
雨の中傘をさして待つなんて、何でこんな
面倒くさいことを...






『キャァァァァァァァァァァァ!!』






突然、人の悲鳴が聞こえた。


僕は、その悲鳴が聞こえた所に目を凝らす。





























通り魔だ。









手には血の付いた包丁を持っている。





近付かない方が良いな...


そう、思ったのもつかの間。









通り魔が暴れているすぐ近くに、夏樹がいた。
西風 柚希
夏樹...!
僕は、傘を放り投げて走った。


雨が顔を打ち付ける。





ああ、何やってんだろ。僕。



いつもの僕だったら、見なかったふりをして
いたハズなのに。


夏樹に会ってから、変わったなぁ...








通り魔が、夏樹を襲おうとした瞬間、僕は
夏樹の前へ飛び出して、通り魔の腕を掴んだ。
桜島 夏樹
...!
夏樹は驚いた顔をする。
通り魔
な...!
西風 柚希
暴れないでくれる?面倒くさいから。
通り魔
ガキ風情が生意気な!!
通り魔は、僕が掴んだ腕を振り払い
僕に包丁を向ける。
西風 柚希
面倒くさいなぁ...
通り魔
おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
通り魔が、僕に驚いかかる。


僕は、後ろに誰もいないことを確認し、その
包丁を避けると、通り魔の腕を掴み、後ろへ
回り込んで通り魔を地面へ押さえ付けた。
通り魔
っ...!
西風 柚希
これでもケンカは強いんだ。
西風 柚希
子供だからって、なめない方が良い。
まあ、僕の顔が童顔どうがんで背が低いだけで、別に僕が
子供っていうわけじゃないんだけど。

もっと、身長伸びないかな...
警察
警察だ!
誰かが呼んでくれたのだろう。警察が来た。
警察
通り魔!お前を逮捕.....って、
警察
もう捕まってる...?
警察は、目を丸くしながら僕を見た。
西風 柚希
あ、どうも...
警察
え?あ、え、ど、どうも?
おっと。相当混乱してるらしい。


まあ、それもそうだ。

中学生(に見えるだけで本当は高校生)が
大人の通り魔を差し押さえているのだから。
警察
け、怪我はない?
西風 柚希
はい。ありません。
警察
そ、そうですか...



























警察に連行された通り魔は最後、何かに
訴えた。


「もうすぐ世界が終わるなら別に良いだろ」と。








僕は考えもしなかった。


こういう考えの人間もいるのだ、と。




世界が終わる。


きっと、それと同時に、好き勝手する人が
増えたんだ。


「もう、こんな世界はどうでも良い」と。





























やっぱり、人間は好きになれない。


































ショッピングモールに着いた。




...だったら、良かったんだけど。








何故か僕は、夏樹の家にいた。
桜島 夏樹
『いやー。凄いね。柚希。』
桜島 夏樹
『格好良かったよ~笑』
西風 柚希
『いや「笑」を付けたら褒められてる
気がしないんだけど。』
桜島 夏樹
『本当だってば~。』
西風 柚希
...
桜島 夏樹
『あ、私、助けてもらったお礼に
柚希の髪、拭くよ。』
西風 柚希
...は?
桜島 夏樹
『ほら!そこ座って!』
夏樹はその言葉を見せると、近くの
カーペットを指差した。
西風 柚希
え、ちょ、
ほぼ無理矢理、カーペットの上に
座らされる。

そして、雨に濡れた僕の髪を、夏樹は
バスタオルで拭き始めた。
西風 柚希
...
抵抗するのは、諦めよう。



夏樹が僕の髪を拭いている時は、話せない。

だから、沈黙が続いた。



























数分後、夏樹が手を止めた。


終わった。

僕はそう思って、立ち上がろうとすると
夏樹が僕の肩に額を擦り付けた。
西風 柚希
夏樹...?
夏樹は何も言わず、僕の肩に額を擦り付ける。


少しした後、夏樹が泣いていることが
分かった。

何故泣いているのか、僕には分からなかった
けど、1つだけ分かった気がした。


夏樹は、

『ありがとう』

と言っている。


もちろん、口にはしていない。

けど、そう伝わった。
西風 柚希
...
『うん。』

僕はその意味を込めて、夏樹の頭をぽんぽんと
撫でた。




























世界が終わる。



























そんな感覚が、昨日よりも大きくなった。