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第15話

ふぃふてぃーん
2月14日。晴れ。







バレンタインデーだ。
西風 柚希
今年も、か...
朝、学校の下駄箱で僕は溜息を吐いた。

バレンタインデーになると、毎年僕の下駄箱の
中はチョコいっぱいになる。


それは何故か。


僕の下駄箱の隣の人が、モテるからだ。

毎年、僕とその人の下駄箱を間違えられる。
桜島 夏樹
『モテモテですなぁ。』
西風 柚希
『それは知ってるけど、僕と間違えるのはやめてほしい。』
桜島 夏樹
『え?このチョコ全部、柚希宛てだよ?』
西風 柚希
『そんなわけないじゃん。』
桜島 夏樹
『いや、本当。だって...ほら。』
夏樹は僕に、チョコの包装に付いている紙を見せた。


『柚希先輩へ』


『西風くんへ』


『西風先輩へ』



どれも、僕の名前だった。
西風 柚希
え...
桜島 夏樹
『去年も一昨年も全部、柚希宛てだと思うよ。』
毎年、よく見ないで隣の下駄箱に入れてたから
分からなかった。
桜島 夏樹
『てか、自覚無しとか可愛すぎ。』
何でだろう。それ、何度も言われる。
西風 柚希
『僕が甘い物苦手なことを知っての嫌がらせ...』
桜島 夏樹
『えっ!?甘い物、苦手なの?』
僕はこくりと頷く。

すると、夏樹は胸をなで下ろした。
桜島 夏樹
『良かったぁ。』
西風 柚希
『何が?』
桜島 夏樹
『あー、ね、それ、』
何を誤魔化しているのか、と思っていると
夏樹は僕に、紙袋を渡した。
西風 柚希
[これは?]
桜島 夏樹
『バレンタインチョコならずバレンタインクッキーだよ。』
西風 柚希
『クッキー?』
桜島 夏樹
『うん。チョコを作りたかったんだけど、その材料である板チョコが売り切れててさぁ。』
桜島 夏樹
『だったら、クッキーで良いか!ってなったんだ。』
桜島 夏樹
『しかも、甘さ控えめ☆』
西風 柚希
『それなら、食べられるかも...』
桜島 夏樹
『うん。良かった!』
夏樹は嬉しそうに笑う。


僕は紙袋に視線を落とした。

夏樹が僕に作ってくれた、甘さ控えめのクッキー。


後で、美味しく頂こう。
西風 柚希
『ありがとう。』
桜島 夏樹
『うん!』





















その日、僕は屋上でそのクッキーを食べた。



...凄く、美味しかった。