そう言って出てきたのは涼介くんだった。
謝りながらも1人の子が
私にしか聞こえないくらいの音で舌打ちした。
女子たちはムカつきながらもどこかへ行った。
立とうと思ったけど痛みが走って立てない。
私が立てないことに気づいた涼介くんは
背中に私を背負った。
流石に学校でおんぶするのは...!
私が歩けないのをわかってるくせにそう聞いてきた。
涼介くんっていじわる、!
私はおとなしく涼介くんに体重をかけた。
それから、保健室まで歩いた。
周りの目がすごく気になったけど。
保健室についたけど
保健の先生は職員室に行っていていなかった。
涼介くんに座ってって言われたから近くの
ベッドに座った。
蹴られたところをみたらアザになっていた。
涼介くんはビニール袋に氷水を入れてくれた。
アザに押しつけると痛みが少し和らいだ気がした。
涼介くんは私のとなりに座った。
《 涼介side 》
とりあえずあなたのとなりに座ったけど
なんか気まずい。
かける言葉が見つからなくてそう聞いた。
大丈夫って言ってるけど笑顔が引きつっている。
本当は大丈夫じゃないんでしょ...?
辛かったんだろう、今にも泣きそうだ。
なんだろう、あなたの前だといつも言わない
こんな言葉も出てくる。
あなたは俯きながら泣きだした。
急に、心が締めつけられたみたいになった。
なんだこれ。なにこの気持ち。
あなたのこと、守ってあげたい。
俺は思わずあなたの頭に手を伸ばしていた。
そして、優しくそっと撫でた。
涙目で微笑んだあなた。
また、心がきゅっと締めつけられる。
俺、もしかしてあなたのこと___
好きなのかも。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。