第10話

My Prince #9
607
2019/12/24 06:22
おはよう、朝一番に声をかけてきたのは涼介くんだった。
あなた
お、おはよっ!
涼介くんから声かけてくるなんてめずらしいな、
って思いながら一緒に食事部屋へ向かった。
大貴
大貴
あなたちゃんおはよっ!
慧
なに、2人仲良くなったのー?
昨日の出来事は2人には言っていない。
ていうか、言えるわけないよね。
大貴
大貴
あなたちゃんそのケガどうしたの?
大貴くんは私のひじの辺りを見ながらそう聞いた。
この傷は転んだときに擦りむいたものだ。
あなた
ちょっと擦れちゃっただけだよ!
そっか、と大貴くんは納得してくれたみたい。


___________________________

今日も学校に着いた。
昨日のこともあって少し緊張している。

慧くんと涼介くんは車を降りると先に行ってしまった。
私は大貴くんと2人きりになった。
大貴
大貴
あなたちゃんどうかした?
私の様子が変なのに気がついた大貴くんが
尋ねてきた。
あなた
ううん!なにもないよ!
大貴くんは少しの間私をみつめてからこう言った。
大貴
大貴
今日はずっと俺と一緒にいること!
休み時間も帰るときもだよ?
あなた
な、なんで?
大貴
大貴
あなたちゃん最近元気ないし...
俺、心配だから側にいたいの!
大貴くん、ほんとに優しすぎる。

でも、大貴くんと一緒にいてまたあんなことされたら...
そう思ったら涙がこみ上げてきた。
大貴くんの前で泣くわけにはいかない...
大貴
大貴
あなたちゃん行こ。
大貴くんは私の腕を掴み、学校とは反対の方向に私を連れて行く。
あなた
大貴くん...?
大貴くんは黙ったまま。

少しすると学校の近くの公園に着いた。
大貴
大貴
…あなたちゃん、全部話して?
思わず えっ と声が漏れた。
大貴
大貴
あなたちゃん、俺らといるから
なんかされてるんだよね?
なんで、なんで全部わかるの___?

わかってくれてる人がいるってだけで嬉しくて。
また涙が出てくる。
涙が溢れて大貴くんの顔がぼやける。

大貴くんはそのまま私に近づいて背中に手を回した。

大貴くんの温もりが私を包む。
大貴
大貴
俺のこと、そんなに信用できない?
なんかあったら全部話して、?
俺があなたちゃんのこと守るから。
あなた
大貴、くん...




ずっとこのままでいたいって思ったのは
気のせいかな。



もう少し、大貴くんの優しさに甘えていたくて。


私も大貴くんの背中に手を回した。

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