《 涼介side 》
ベッドでぼーっと寝転んでいるところに大貴が入ってきた。
大貴は近くの椅子に座った。
あなたはまで慧と出かけていて、さっき帰ってきたところだ。
一気に頭が真っ白になった。
あなたが慧と...?
俺はあなたが〝慧くん〟じゃなくて〝慧〟と呼んでいたことも思い出した。
あいつら、もしかして付き合ってんの?
誰かに、慧にあなたを取られたくない。
俺は自分の部屋から走って出た。
行き先はもちろんあなたの部屋。
部屋の前に行くとノックなんかせずに勢いよく扉を開けた。
いきなり入ってきてすごく驚いたみたいだ。
こんなときでもそんな顔が可愛いと感じてしまう。
《 あなたside 》
家に帰ると梨々香からメールがきていることに気がついた。
そういえばずっとスマホ開いてなかったなぁ...
〝大丈夫?〟
〝今日のノート送っておくね〟
〝メールみたら返事してよ!〟
どれも心配してくれてて梨々香になんだか悪いなあと思ってしまう。
そのとき_______
ガチャッ!!
扉が勢いよく開き、涼介くんが入ってきた。
ちょっと怖い顔してるけど何かあったのかな。
涼介くんは私の方に歩いてきて、私の肩を掴んだ。
一瞬、心臓がドキッと跳ねたような気がした。
なんで知ってるの、?
え、?なんでそんなこと言うの_____。
涼介くんの目は真剣だった。
涼介くんがそう言った瞬間、私は涼介くんの腕の中にいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!