「いってきます!お父さんお母さん朔翔!」
あの事件から約2年と少し。
毎日家を出る前には仏壇に笑顔で手を合わせる。
親戚の人は私を引き取るって言ってくれてたけどこの家から離れられなくて私一人で住むことになった。
そんな私も今日から雄英高校生!
あの事件が起こるまではヒーローになりたいと思っていたけど、ヒーローだって人だって分かった。
どれだけ助けを求めても助からない人だっているんだって。
だから私はサポート科に首席入学した。
ロボットなら、AIなら一気にたくさんの人を救えると思ったんだ。
ガチャッ
まだ、家族のみんなを引きずっていないとは言えない。
家に帰るとお母さんが料理をしてて、朔翔はゲームを誘ってきて、お父さんはただいまーと帰ってくる。
日常がそうそう消えてくれるものじゃない。
ガヤガヤ
坂を登るとH型の建物が見える。
ここで、人を助けるから、天国から見ててね。
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大きい扉。ガララッ
私が教室に入る頃にはほとんどの人が来ていて自分の作った物(?)などを出してアイデアを言い合っている。
友達…かぁ。大切なものを作ると同時に失うという可能性も増えていく。友達は最低限度だけでいい。
?「君!君!!首席のあなたくんだろう?」
「うん。そうだよ」
?「私は発目明!よろしくな!!」
「時空あなた。よろしく発目さん」
始業式はそこら辺抜けてるクラスあるし、人多くて個性の影響か常に他より広い空間把握をしている私には、酔いそうになるほどだ。
「先生、すいません。気分悪くて、保健室行ってきます。」
先生「あぁ、顔色悪いぞ1時間分は眠ってこい」
「はい」
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保健室へ向かう道中、ガラス張りの窓からはグラウンドが見えた。
「何やってるんだろう。あれ。」
ボール投げ…?緑のあの子は指を負傷してる。
「うッ…気持ち悪…。」
気持ち悪さで、痛そう。可哀想。と言っていられなかった。
「は、はやく、、保健室…。。」
ガラッ
「リ、カバリー、ガール…」
リカバリーガール「なんだい、顔色悪いじゃないか!」
「人酔いしちゃって…。」
リカバリーガール「それが治まるまでは休んでおくことだね」
「はい…すいません。」
.
シャッ!トントン
「んっ…。だれ?」
?「もう下校の時間だよ」
「あ、緑頭、指の子。」
?「??起こしちゃってごめんね。でももう帰らなきゃいけない時間だしさっき寝てたの見えたから起こしに来たんだ〜」
「名前は…?」
?「緑谷出久!時空さんだよね!」
「なんで知ってるの」
緑谷「リカバリーガールが呼んでたから、かな?」
「そういうこと。」
緑谷「うん!じゃあね!もう行かないと」
「ありがとう緑谷くん」
緑谷「うん!」
あの子は普通科っぽいな。でも普通科だったらなんでグラウンドで記録取ってたんだろう。…ヒーロー科?
いやいや。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。