本当はあんな事言うつもり無かった。
世間から見たら今やヒーローは無くてはならないものだ。目指している人が居るなんて当たり前のこと。
分かってる。分かっていたから、あの頃までの私もヒーローを目指していたんだ。
でも、もう私はヒーローに期待してない。
あの日。みんなが居なくなった日。呼びに行ったヒーローは違う件をしていて、すぐには来てくれなかった。
もう少し、あと少しだけ早かったらお母さんは助かっていたのかと思うとやるせない気持ちになった。
だからいいんだ。あれは、本音だった。爆豪くんに嘘をついても何もならなかっただろう。
これでまた学校生活に集中出来る。
⌇次の日
発明「あなたくん!今日も手紙置いていったぞ!」
「ありがとう」
…このくしゃくしゃ。爆豪くんしかいないでしょ
『俺と戦えや』
この日から毎日のようにくしゃくしゃの手紙が届いた。1度も行かなかったけど。
⌇数日後
先生「みんなA組が襲撃にあったことは知っているな。」
え、襲撃ってなに…爆豪くん達のクラスだよね。
先生「まぁ生徒は皆無事らしい。」
よかった。
先生「そんな中だが、雄英体育祭がある!」
…ん?ちょっと待った。
「A組が襲撃された?のに体育祭するのですか?危ないのでは無いのですか?」
先生「あぁ、雄英のセキュリティの万全を大々的に知らしめるいい機会らしい。実際セキュリティは前年に比べ5倍ほど強化されている。まずあんぜんだろう」
なるほどね。セキュリティをくぐって雄英に侵入なんか無理だぞってことね
先生「体育祭、サポート科は発明した物の使用を許可されている。」
体育祭ねぇー…きっとA組が注目を浴びるだけのお祭りになるだろうな
⌇帰り道
放課後はいつもと言っていい程の頻度で好物の牛肉コロッケを食べながら帰る。
「おっちゃん〜コロッケ1つ!」
おっちゃん「おぉ!今日は学校楽しかったかぁ〜?ニコ」
「学校だよ?笑勉強勉強勉強だよーあ!そういえば体育祭するらしいんだよね」
おっちゃん「雄英の体育祭かぁ!あなたちゃん絶対見るからなぁ〜!」
この牛肉コロッケの …精肉店のおっちゃんはお母さんとよく帰りによっていたところで、あの事件の後引きこもってしまった私を引っ張り出してここまで回復させてくれた人の1人だ。
いわゆる恩人ってやつ
おっちゃん「はいよ!牛肉コロッケね〜」
「美味しそう〜〜ッ!ありがとうおっちゃん!」
ホクホクの牛肉コロッケを持って、いつもと変わらない道をひたすら歩く。
私の下校道には1つコンビニがある
『でもさ、あの死柄木弔って人が言ってたオールマイトは分かるんやけど例の女って誰のことなんやろう』
コンビニの前を通りすぎようとした時横をすれ違った女の子の会話が耳に入った
"死柄木弔"
その名前に反応せずにはいられない。そしてその例の女。きっと私だ。バッと振り返ったところに相手も驚いたのかこちらを振り返る
「麗日…さん?」
麗日「あれ!あなたちゃん!こんな所で会えるなんて〜!」
「お久しぶり…かな??それよりA組襲撃されたって先生から聞いた。大丈夫なの?」
麗日「あ、私は全然大丈夫!」
「なら、良かった」
麗日「うん!じゃあね!!」
「うん」
友達を作らないとこうと思っていても奴の名前には自分の意思には逆らえないんだな。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。