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潾side…
【自室】と呼ばれた部屋は扉に書いてある名前によって設定されており、夜の間はお互いの部屋の行き来の禁止となった。
私の部屋の2つ隣には憐の部屋があって、お互いに顔を見合わせて部屋に足を踏み入れる。
そこには
・小さな小型のテレビ(古い)
・テレビ用と思われるリモコン(ボタンは0〜9の数字と赤と白)
・シンプルで真っ白なベッド
・座るところが回るタイプの椅子
・木で出来ているであろう机
という、生活感のない部屋だった。
机の引き出しにはノート1冊と鉛筆3本。そして12色の色鉛筆1箱のみだけがあった。
だが、やはりと言うべきか、その机の中身も綺麗に整えられた状態で並べられており、色鉛筆も全て削られ済みの新品であった。
生活感など存在しない、そんな事を強制的に教えてくるような。
気持ち悪いと、思ってしまうような部屋だった。
私の役職は_____
洋服を着て、畑を耕す桑を持っている絵が書かれた紙には、【村人】と、確かにそう書いてあった。
憐side…
姉が心配だ。
多分、心配なんて要らないだろう。
なんせ、あの姉だ。
自分より長けてて、頭が良いし、性格良いし、可愛いし………
だから、願う
だからこそ、願う
一緒に脱出出来ますように。
三日月side……
深呼吸をして、絵を見ようとする。
もう少しで見えるのに、もしも……と考え出すと止まらない。
波が出てくる。
大丈夫。
大丈夫。
頭をfull回転させて、生き残れ!
……そして、お母さんとお父さんを救う。
___大丈夫。
だから、まだちょっとだけ!
絵、このままでいいかな!?
美桜side
絵を見た。
絶望とでも言おうか…
多分、多分だけど、私は負ける確率が高い。
言おうとしたところで気づいた。
甘えたくない。
生き残って褒めてもらえば
多分また、優しいお母さんに戻るよね
深呼吸をして、滲んだ目もとを袖でこする。
明日、多分全て決まる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。