第4話

婚約
164
2022/05/15 04:28
坂田side
黄百合センラ(幼少期)
まーし!こっちきて!
月崎 志麻(幼少期)
え、ま、待って!
中庭を楽しそうに走り回る2人。

御館様と庵司様、2人の奥方様達が笑っている。
綺の方アヤノカタ
あらあら元気なこと。
花桜の方カオウノカタ
志麻ももう少し男らしかったらねぇ…
御館様
いやいや、志麻殿のような方が、将来化けるのですよ。
月崎 庵司
果たして、そうでしょうかな。そうだったら良いのですがね!
ははははっ、と笑う4人に俺も少し笑みをこぼした。
黄百合センラ(幼少期)
さか遊ぼー!
月崎 志麻(幼少期)
あそ、ぼ!
坂田 優
いいですよ。行きましょう。
花桜の方カオウノカタ
あらあら、志麻も坂田殿に随分懐いて。
綺の方アヤノカタ
ほんとねぇ。
坂田 優
恐悦至極に存じます。
黄百合センラ(幼少期)
さか!はーやーく!
坂田 優
今参ります。
センラ様と志麻様の婚約が決まったのはそれからまもなくのことであった。
月崎 庵司
本当にありがとうございます。
御館様
こちらこそ、よろしくお願い致します。
黄百合センラ(幼少期)
まーしよろしくね。
月崎 志麻(幼少期)
よろしく、センラ。
綺の方アヤノカタ
坂田、2人を頼みましたよ。
坂田 優
命に変えてもお守り致します。奥方様。
花桜の方カオウノカタ
坂田殿がついていてくれるなら安心ですね。
綺の方アヤノカタ
そうねぇ。坂田なら心配する必要ないわね〜
坂田 優
勿体ないお言葉…ありがとうございます。
黄百合家と月崎家の嫡男が婚約したという報告は、すぐに全国へ広がった。
『黄百合と言えば大国…月崎とはどこじゃ?』
『はて…あぁ、そこらの小国じゃ。しかし何故あんなところと…』
『センラが嫁入りするのじゃろう?普通逆では…』
『黄百合の考えは全くわからぬ。』
坂田 優
…と、巷で噂でございます。
御館様
言わせておけ言わせておけ。
小国だろうが大国だろうがセンラと志麻殿が夫婦となるのは変わらぬ。
綺の方アヤノカタ
そうよ坂田。心配いらないわ。
坂田 優
さようでございますね。
幸いにも、おふたりともお互いを気に入っておられる。

センラ様も『次はまーしいつ来るの!?』と毎日聞いてくるくらいだ。
綺の方アヤノカタ
早く一緒に住めるといいわねぇ。
あと12年でしょ?早いわよ〜きっと!
坂田 優
12年後…私は25歳ですね。
綺の方アヤノカタ
あら、おじさんになるわね。
坂田 優
おじ…!?
綺の方アヤノカタ
冗談よ冗談!も〜。
くすくすと笑う奥方様に、俺は少しむっ、として見せた。



この方はたまに、こうしてからかってくることがある。

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