坂田side
中庭を楽しそうに走り回る2人。
御館様と庵司様、2人の奥方様達が笑っている。
ははははっ、と笑う4人に俺も少し笑みをこぼした。
センラ様と志麻様の婚約が決まったのはそれからまもなくのことであった。
黄百合家と月崎家の嫡男が婚約したという報告は、すぐに全国へ広がった。
『黄百合と言えば大国…月崎とはどこじゃ?』
『はて…あぁ、そこらの小国じゃ。しかし何故あんなところと…』
『センラが嫁入りするのじゃろう?普通逆では…』
『黄百合の考えは全くわからぬ。』
幸いにも、おふたりともお互いを気に入っておられる。
センラ様も『次はまーしいつ来るの!?』と毎日聞いてくるくらいだ。
くすくすと笑う奥方様に、俺は少しむっ、として見せた。
この方はたまに、こうしてからかってくることがある。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!