第5話

2回目 体育館で
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2018/02/26 13:58
校長先生
えー、君達はこれから自分の運命を決める時が何度も訪れることでしょう。しかし…
全校生徒が集まる体育館で校長先生の声だけが響いている。寝ている生徒、隠れてお喋りをする生徒、一生懸命に校長先生の話を聞く生徒、様々だった。
桃井 梅瑠 モモイメル
次だね、優桜の別れの言葉。
春川 優桜 ハルカゼユラ
…うん、緊張してきた。
私が休んでいる間に卒業式で別れの言葉を言う人を誰にするかという話し合いが行われたそうだ。当たり前だが自分から進んで言いたいという生徒はおらず、毎年テストで上位にいる生徒が言うのが恒例となっていた。
桃井 梅瑠 モモイメル
ごめんね、私も止めたんだけど…
春川 優桜 ハルカゼユラ
気にしないで。
さすがに1番ではないが、テストで10位以内には入っていた私はみんなからの推薦を受け別れの言葉を言う人になってしまった。もしかしたら自分が言いたくないという思いからなのかも知れないけれど…。
春川 優桜 ハルカゼユラ
私、休んでばっかだったから。最後だけでもクラスや学年に貢献したくて。
桃井 梅瑠 モモイメル
…そっか。
先生
校長先生、ありがとうございました。続いて別れの言葉、3年C組春川 優桜さん。お願いします。
春川 優桜 ハルカゼユラ
はい。
返事をしてステージに上がる。マイクの前に立って原稿を読み進めた。
『キー』
上から変な音が聞こえる。しかし別れの言葉の最中に上を向くことは出来なかった。
『キーー、キーー、ガチャン!!』
桃井 梅瑠 モモイメル
…優桜っ…⁉︎
春川 優桜 ハルカゼユラ
えっ…
梅瑠の声が初めに聞こえ、最後に聞いたのはクラスメイトや先生達の悲鳴だった。

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