第10話

終わり
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2018/03/01 06:21
次に目を開けたときは光に包まれていなかった。代わりに白い天井が見え、アルコールのような匂いがする。
桃井 梅瑠 モモイメル
せ、先生!!優桜、目覚ましました!!
春川 優桜 ハルカゼユラ
…梅…瑠?
桃井 梅瑠 モモイメル
よかった、ほんとによかった。
梅瑠は泣いていた。




梅瑠から話を聞くと私は確かに刺された。しかし、奇跡的に一命をとりとめたそうだ。私を刺した通り魔は私が目覚める数時間前に捕まり、もう心配はいらないらしい。
春川 優桜 ハルカゼユラ
私、生きてるの?
桃井 梅瑠 モモイメル
うん!そうだよ、生きてる!優桜は体が弱いから心配したけどほんとに奇跡!!
優桜の母
優桜!
春川 優桜 ハルカゼユラ
お母さん。
病室に入ってきた母にギュッと抱きしめられる。
優桜の母
よかった、本当に。
春川 優桜 ハルカゼユラ
うん。












天気は晴れ。お出掛け日和。
桃井 梅瑠 モモイメル
おはよう!優桜!
春川 優桜 ハルカゼユラ
おはよう。久しぶりだね、2人で出掛けるの。
桃井 梅瑠 モモイメル
だって…お互い仕事が忙しかったじゃない。
春川 優桜 ハルカゼユラ
だよね。
私達は23歳になっていた。1年前に私も梅瑠も大学を卒業し、今は働いている。
桃井 梅瑠 モモイメル
最近はどう?体調。
春川 優桜 ハルカゼユラ
全然!すごい元気!あの日刺されて入院した後くらいから体調が悪くなる回数も減ってきて、今はほとんど大丈夫!
桃井 梅瑠 モモイメル
よかったー!
春川 優桜 ハルカゼユラ
今日はどこ行くー?
桃井 梅瑠 モモイメル
行きたいとこがあるの!あのね…
今密かに私が思っていること。それは私に3回のチャンスをくれた人の声と、今私の目の前にいる梅瑠の声が似ているような気がすること。でもあの日から光に包まれていたときの記憶がだんだん薄れてきている。でももしそうなのだとしたら私が2回も照明で死ななかったのは梅瑠のおかげだ。
『生きて…』
しかし、あの光の中での言葉ははっきりと思い出せる。チャンスをくれた人が梅瑠でも、たとえそうでなくても私は必ず生き続ける。
大切な友達と共にー

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