2度目の校長先生の言葉を聞き流しながら梅瑠から話しかけられることを待った。
2回目のためそこまで緊張していないが1回目と同じような言葉で返す。
自分が別れの言葉の最中に死んでしまうことを言いそうになってしまった。うまいタイミングで別れの言葉に切り替わったため梅瑠には答えずステージに向かう。
『…』
(あれ…?音がしない…?)
いくら別れの言葉を話し進めても上から照明が落ちてくる気配がない。
『…』
『パチパチパチ』
最後まで別れの言葉を話しても照明は落ちてこない。ステージの上でお辞儀をし、私は自席に戻ろうとした。
『キーー、キーー、ガチャン!!』
梅瑠や他の生徒、先生達の声が聞こえるなか私は固まった。
私は今まで立っていた場所から2mくらい離れた場所にいた。照明が落ちたのは私が今まで立っていた場所だった。
なぜこの前と照明が落ちた時間が違うのか。
前にも聞いたようなセリフだ。
先生がそう発言しても私は照明が落ちた時間が違うことを気にしていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。