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第16話

「…そろそろ、行こうか。」
「うん。」


沈黙の時が長かったせいで、会話は続きそうになかった。


「遅かったね、あなた。ちゃんとフッてきた?」
「…充希、いい加減にしないと、怒るよ。」


姉弟というものは、長い付き合いだから、たった一言だけで何もかもが伝わってしまうのだろうか。
充希くん…いや、もう呼びにくいから、男は残念そうに肩を落とした。


「なーんだ、話しちゃったの?つまんない。」
「全く…悪ふざけがすぎるんだよ。悪いけど、買い物は別の日にね。今日は橘くんと約束してたから。」
「絶対俺の方が先だったのにー。ま、良いけど?」


あんだけしつこかったのが嘘みたいに、男は身軽にどこかへ行った。
それを見送る山口の目は、表情は、ちゃんとお姉ちゃんのものだった。


「…ごめんね、時間とらせて。」
「大丈夫だよ。そんなの気にするな。」


時間はまだある。
そんなに急がなくたって、大丈夫なんだと、目で伝えた。


…まぁ、そんなわけで、ようやく俺達は目的の場所に辿り着いた。


「お金は俺が払ってくるから、山口はちょっとここで待ってて。」
「えっ、そんなの、悪いよ。」
「何言ってんの。デートで女の子に金出させるほど、俺ダメ男じゃないよ。」


まぁ、ぶっちゃけ、山口がそうやって遠慮するのは目に見えてたけど、ここは男の意地っていうか。


「山口が今日、俺に付き合ってくれてる礼。」
「…じゃあ、お言葉に甘えて…。ありがとう。」


山口は少し恥ずかしそうにしながらも、素直に聞き入れてくれた。
俺は、軽く微笑み返し、チケット二枚を買って、また山口のところへ戻った。

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Salt Sugar
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