どーも、俺、橘の大親友、草木彰人(くさきあきと)!
自分で言うのもアレだけど、顔はそこそこ整ってるし、イケメンの部類(って女子が言ってた)。
まぁ俺、自他共に認める結構何でもこなせちゃうチャラ男だし?
明るいし、人当たり良いし、きっと皆からしたら関わりやすいよね。ま、所詮、上辺だけな気もしなくもないけどさ。
そんな中でも、橘は、本当に俺の親友、って自信を持って言える間柄なんだ。
生真面目で優しいし、俺のこともちゃんと理解してくれてる。
俺も、あいつのことは理解してるつもりだ。
つもりだったのだけど、アレは、想定外だったな。
『山口は俺の彼女なんだから』
皆の前で、あんなことを言い張るなんて、思ってもみなかった。
あの時の橘の顔は、男でもドキッとしてしまうくらいカッコよくて、『俺より先に彼女ゲットするのかよ』と少し妬んだ。
まぁ、アイツは無自覚なんだろうけれど、かなりモテてる。
告白されないのも、アイツがあまり女子を寄せつけない雰囲気を出しているからで。
だから、自惚れたのかな、俺、橘よりは先に彼女が出来るんだろうし、焦んなくてもそのうち出来るかなーって、余裕ぶっこいてたんだけど…。
まぁ、今も、その気持ちは変わらない。焦ったって意味がないから。
でも…。
「アイツ、幸せそうに見えねんだよな…。」
なんか、昨日までは普通だったのに、今日、どこか違和感を感じたんだ。
どこが、とは上手く言えねぇし、俺の気のせいってのもあるかもしれないけど、何か、こう…いつもと違うというか、無理してるっていうか。
もし何かあったなら、俺に言えよ、って、そう思うんだ。
アイツのことなら、なんでも受け止めれるし、話してほしい。
人知れず、真面目な顔をして歩きつつ、俺はそんなことを思った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。