第13話

保健室の先生【テオくん】
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2018/05/09 21:26
テオくん
俺、じんたんのこと……好きなんだ



そういった頃にはじんたんはもう寝てしまっていた。





せっかく口から出たのに、


勇気が出たのに、




こういう時にしか言えない。











保健室にはじんたんと俺のふたり。





先生は来ない。



きっと職員室だろう。







じんたんの寝顔は綺麗だった。




まだまつ毛が濡れている。








その姿を見るとすごく " 守りたい " と思う。







すごくずるい姿だ。












そう思ってたらいつの間にかじんたんに近付いていた。




せめておでこだけ………






そうやってそっと手で前髪をあげ、


顔を近付けた。









ガラガラガラ








テオくん
っ!?


急いでじんたんから離れた。





見てみると保健室の先生がいた。



保健室の先生
あら、寺島くん?どうしたの
テオくん
いや、じんた…じんがなんか息出来ないって言うか…
保健室の先生
藤枝くん?
テオくん
はい


そう言うと先生はじんたんに近付いた。



保健室の先生
たぶん過呼吸になったのよ、心配することない
すぐよくなる
テオくん
よかった……


自然と口から出た。



心から安心したからだろうか。



保健室の先生
寺島くんは藤枝くんと仲がいいの?
テオくん
はい


授業に戻ろうとドアに近付こうとした瞬間、


先生に話し掛けられて立ち止まった。


保健室の先生
意外ね
テオくん
えっ?
保健室の先生
だって、藤枝くんって大人しい子でしょ?
そんな子が寺島くんみたいに明るい子と仲良くなるなんて、
なんかびっくりしちゃって…


そっか、



みんなそう思うんだやっぱり。





こんなにうるさくてバカなやつとじんたんみたいに、


大人しくて落ち着いてる子と仲良くなると。




テオくん
まあ…


なんて返したら正解?


保健室の先生
……あ、まだ授業中よね、戻っていいわ
ごめんね?
テオくん
はい、大丈夫です


ぺこっと頭を下げて保健室を出た。









俺が保健室の先生だったら……




なんて、


らしくもない想像を授業中に考えてた。











キーンコーンカーンコーン






チャイムが鳴って授業が終わった。






じんたんは鳴って数分後、


戻ってきた。



テオくん
あ、じんたん大丈夫だった?
じんたん
うん、大丈夫だよ


いつもの笑顔で安心した。


じんたん
テオくんありがとね
テオくん
いいよいいよ〜
じんたん
あ、テオくん



じんたんは思い出したかのように俺に問いかけた。





じんたん
俺が寝る前、何て言ったの?
テオくん
え、?


じんたん、


聞いてないかと思ってた……





どうやら好きって部分は聞いてないみたい。



テオくん
え?俺なんか言ったっけ?



その時は勇気なんてものがなくて言えなかった。




じんたん
そっか、聞き間違いだったのかな……
テオくん
疲れてたんだよ
じんたん
そうかな?


『うん』と言ってから席についた。




ちょうど休み時間が終わった。












次からの授業はじんたんが心配で心配で仕方なかった。

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