第10話

留学
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2021/12/20 12:54
 
 顔を上げると恭君が居た。
花井姫禾
花井姫禾
どっ、どうして…
渡辺恭也
渡辺恭也
お別れの挨拶に来たんだ

 そういうと、お祖父ちゃんに手を合わせ挨拶をしてくれた。
渡辺恭也
渡辺恭也
姫禾にも話したいことがあって来たんだ…
花井姫禾
花井姫禾
えっ…
渡辺恭也
渡辺恭也
俺、留学することに決めたんだ
だから、挨拶に来た
 
 留学…

恭君もいつかはするかもとは思っていた…こんなに早くとは思って無かった。

 私の後見人を恭君の御両親が引き受けてくれたからずっと一緒に居られるかもって勝手に思っていた。

 そっか…留学か…
花井姫禾
花井姫禾
話してくれて、ありがとう
身体に…気を付けて…
渡辺恭也
渡辺恭也
その涙は、寂しいから?
離れたくなくて流してくれてるの?

 頬を触ると涙が流れていた。
花井姫禾
花井姫禾
…どうしてだろう?
寂しくて、辛いからなのかな?
離れたくない?
渡辺恭也
渡辺恭也
姫禾は少し鈍いよね
でも、そんな姫禾も好きだよ
花井姫禾
花井姫禾
えっと…
渡辺恭也
渡辺恭也
帰ってきたら婚約してくれる?
絶対に姫禾じゃないと俺はダメだから
花井姫禾
花井姫禾
本当に私でいいんですか?
可愛くないし、恭君にしてあげれることないですよ…
渡辺恭也
渡辺恭也
姫禾は凄く可愛いよ
ずっと隣にいてくれるだけで良いんだよ
俺のこと、嫌い?
 ズルいな…
嫌いなわけないのに…

婚約…恭君が私の旦那様で、私は恭君のお嫁さん。
こんなに嬉しいことなのに素直になれない自分が大っ嫌い…。

変わりたい…恭君と一緒にいる為にも
花井姫禾
花井姫禾
恭君の事が…大好きです
だから、私を恭君のお嫁さんにしてください!
渡辺恭也
渡辺恭也
姫禾、ありがとう
俺こそ、姫禾の旦那さんにしてください
花井姫禾
花井姫禾
えぇぇ
もちろんです…よろしくお願いします
渡辺恭也
渡辺恭也
出来るだけ早く帰って来るから…待っててくれる?
花井姫禾
花井姫禾
はい!

 恭君が私の額に約束の印とキスをしてくれた。
行ってきます…と恭君が家を出て行くと涙腺が崩壊し、声を上げて泣いてしまった。

 帰って来る時までには、隣に立って釣り合う女の子になっていたい。

 私も頑張るからね!

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