第2話

1.夢と現実の狭間で。
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2023/10/30 13:55
~らんside~



気付けば、俺は知らない場所で歩いていた。

いるま
おーい、早く来いよ。リーダー。
らん
…!
いるまが呼んでいる。

いるまだけじゃなくて、みんなが道路の向こう側にいた。




あれ、なんで俺一人だけ…


みんなが遠い。

まるで、俺がどれだけ努力しても、手の届かない存在のように。





…早くみんなの元へ行こう!

らん
うん今いっ、く……
その瞬間。




キキーッッッ‼‼

らん
……え、?
俺は道路の真ん中で、血だらけで倒れていた。


身体中がズキズキと痛む。



それだというのに、脳は何故かハッキリとしていて。

いるま
リーダー!?
こさめ
リーダーっ!ねぇっ!嫌だよ、死なないで!
なつ
おい、意識あるか!?
すち
今救急車呼んでるっ!それまではー…!
みこと
リーダー!起きてよぉっ…!
そうだ。俺はリーダーなんだ。



人より何倍も努力しなきゃ、いけない存在なんだ。



なんの才能のない俺でも、並ばなきゃ。前に出なきゃ。


…それなのに後ろで心配をかけるなんて、なんて駄目なリーダーだよっ…




「大丈夫だよ。」


そう言いたいのに、口が動かない。


口だけじゃなく、腕も足も、表情すらも動かない。



…どうして?




……ザザッ。


らん
……あれ、?
また、知らない場所にきた。


線香の香りが漂っていて、皆黒い服を着ている。



……あっ。

いるま
……
いるま…!



いるまだけじゃなく、なつもこさめも、すちもみこともいる。


それなのに、みんなの表情は虚ろだ。


…?どうして、?

いるま
……っ!
いるまが悲しみをこらえたような顔で、歩き始めた。


俺もそれについていく。




…そこには、大きな白い箱がひとつあった。

そして、俺の写真が飾られていた。



こさめ
……うっ、うあぁ…!
らん
…こさめ?どうしたの?
なつ
っ!なんで、こんな…
すち
……っ!
みこと
これから、どうすればいいの……!
らん
みんな?ねぇ、どうしたの?大丈夫?
なにも反応がない。どうやら、俺の声が聞こえていないようだ。


……すると、いるまが白い大きな箱の端の部分を、開けた。

らん
……え、…?
そこにあったのは。



真っ白な顔で、眠るように横たわっている俺だった。




…死んでいる?


そこで、さっきの出来事を思い出した。



…そうだ、俺、交通事故で……


それじゃあ、ここは俺の葬式。





…やったぁ。みんな、来てくれたんだ。



……俺のために。



傍に来てくれたんだ…!


いるま
……リーダー…
らん
……いるま…
消えていくような声で、呟くいるま。


いるまには見えてないだろうけど、いるまの背中を優しくさする。






…あれ?


いるま、俺のこと「リーダー」だなんて、呼んでたっけ?




……まぁいいか。







……ザザッ。





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