第56話

発覚
1,216
2020/09/02 15:50
あなた

おはようございます

スタッフ
あ!
先輩!
今日は事務所に台本を取りに来た。
あなたを見つけると後輩が近寄って来た。
あなた

おはよう。
どうしたの?
血相変えて。

スタッフ
先輩!
後輩に腕を引っ張られ部屋の隅っこに移動した。
スタッフ
先輩!
なんで話してくれなかったんですか?
後輩は周りを気にしながら話し始めた。
あなた

え?なにが?

スタッフ
先輩……。
浪川さんと付き合ってたんですか?
あなた

え!なんで!

あなたが大きい声を出すと、後輩が慌ててあなたの口を手で塞いだ。
スタッフ
浪川さんと別れて……今は木村良平さんと付き合ってます?
あなたはうんうんと頷いた。
スタッフ
先輩……。
後輩は確認すると塞いでた口を離した。
スタッフ
浪川さん……さっき事務所来て。
今鈴村さんと話してます……。
この後、木村さんの事務所の方も来るみたいです……。
あなた

嘘!

あなたは社長室に向かいノックをすると中に入った。
あなた

浪川さん……。

浪川大輔
浪川大輔
あ……おはよう。
浪川は少し悲しそうに笑った。
鈴村健一
鈴村健一
おはよう。
鈴村は机の紙をまとめた。
あなた

スタッフから聞きました。
この後、良平の事務所の方も来るって……。
何かあったんですか?

浪川大輔
浪川大輔
……。
鈴村さん……。
浪川に呼ばれると、鈴村は溜息をつきながらまとめた紙をあなたに渡した。
鈴村健一
鈴村健一
今朝ポストに届いたそうだ。
渡された紙には浪川とあなたが車に乗る所やお互いのマンションに入る写真。
浪川大輔
浪川大輔
俺達が付き合ってた時のだよ。
更に2枚目を見ると、次は良平と手を繋いでる写真やお互いのマンションに入る写真だった。

「鈴村あなたが引退し、木村良平と別れなければ、この写真を公開する」
と書かれていた。
あなた

嘘……。

鈴村健一
鈴村健一
同じのが浪川と良平の事務所に……。
浪川大輔
浪川大輔
鈴村さん……すいません。
あなたが最近誰かにつけられてるって気付いてたのに……。
鈴村健一
鈴村健一
いゃ。
お前のせいじゃないよ。
知ってて、お前らに任せてた俺も悪いし。
あなた

ごめんなさい……。

鈴村は泣き出したあなたを優しく抱きしめ、頭を撫でた。
鈴村健一
鈴村健一
浪川。
ちょっと頼んでいい?
そろそろ良平の事務所の人来るから。
お前にも迷惑かけるかもな。
浪川大輔
浪川大輔
いぇ。
俺達はもぅ別れてますし。
あなたを傷付けるような対処はしません。
鈴村健一
鈴村健一
ありがとうな。
ほら。
浪川大輔
浪川大輔
あなた。
こっちおいで。
浪川は鈴村からあなたを受け取ると部屋を出た。

部屋を出ると後輩が2人に近寄って来た。
スタッフ
浪川さん。
良かったら仮眠室、今なら空いてるので使って下さい。
浪川大輔
浪川大輔
ありがとうございます。
スタッフ
あの……。
先輩の事……宜しくお願いします。
浪川大輔
浪川大輔
任せて下さい。
仮眠室に案内されると2人でベッドに座った。
浪川大輔
浪川大輔
ほら、目腫れるぞ。
浪川はティッシュであなたの涙を拭いていた。
あなた

どうしよう……。
良平!
良平に連絡しないと!

浪川大輔
浪川大輔
落ち着けって。
事務所の人が来るなら良平も知ってるはずだよ。
あなた

ごめんなさい……。
浪川さんに迷惑かけて……。

浪川大輔
浪川大輔
何言ってるの。
今は俺の事はいいんだよ。
浪川があなたの頭を撫でてると、ドアがノックされた。
スタッフ
失礼します。
先輩……木村さん来て……社長室入ったんですけど……。
さっきから木村さんの声が……。
あなたは仮眠室から出て、社長室に入ろうとしたが、浪川が開けるのを止めた。
木村良平
木村良平
なんで勝手に決めるんですか!!
社長室から良平の声が聞こえ2人はドアを見た。
鈴村健一
鈴村健一
良平。
落ち着け。
??
良平。
お前は事務所にいろと言ったろ?
中では鈴村と良平と恐らく良平の事務所の社長の声が聞こえた。
木村良平
木村良平
俺とあいつの問題です!
それに!
俺あいつとは別れる気無いです!
あいつと付き合ってるの分かって、下がる人気ならいらないです!
??
お前……。
浪川大輔
浪川大輔
……黙って聞いてりゃ……。
お前は来るなよ?

失礼します。
浪川はドアをノックすると中に入っていった。
浪川大輔
浪川大輔
失礼します。
ステイラック。
代表の浪川大輔です。
??
浪川さん。
浪川大輔
浪川大輔
僕は以前、写真の通り鈴村さんとお付き合いさせて頂いてたのは事実です。
ですが、彼女は才能があります。
男女問わずに人気があるのは確かです。
これからも人気になるでしょ。

彼女が突如現れた新人だから、木村さんとの交際を認めないということでしょうか?
鈴村健一
鈴村健一
どうなんですか?
確かにあなたは今では我社でトップに入る人気です。
??
……。
浪川大輔
浪川大輔
我社では、以前にお付き合いさせて頂いていた、事実を発表しても。
なんの支障もないと思っています。

その位、彼女に信頼してます。

鈴村さんの所もですよね?
鈴村健一
鈴村健一
うちも発表しても構わないです。
??
……。
分かりました。
明日、発表でどうでしょうか?
鈴村健一
鈴村健一
こちらは構いません。
??
浪川さんも後々にこの写真が出回る可能性がありますが……。
浪川大輔
浪川大輔
その時は、木村さんや鈴村さんにご迷惑がかからないよう対処します。
??
良平もそれでいいか?
木村良平
木村良平
ありがとうございます!
良平は頭を下げた。

浪川は微笑みドアを開けた。
浪川大輔
浪川大輔
良かったな。
木村良平
木村良平
あなた!!
良平はあなたを抱きしめた。
??
すいません……。
鈴村健一
鈴村健一
いぇ。
2人を見てると別れさせる選択を与えるのは可哀想です。
あなた

あの……。

良平から離れるとあなたは頭を下げた。
あなた

ありがとうございます

??
良平。
お前ちゃんと責任取るんだぞ。
木村良平
木村良平
もちろんです。
良平も頭を下げた。

プリ小説オーディオドラマ