第66話

別れ
1,359
2020/09/14 23:32
あなた

ありがとう。
送ってくれて。

浪川大輔
浪川大輔
あぁ。
暫くは自分で運転して現場行けよ?
あなた

うん。
それじゃ。

浪川からの車から降りると自分の家に入った。
あなた

今日オフで良かった……。

鍵を開けて、ドアを開くと玄関に良平の靴があった。
あなた

……。
良平?
来てるの?

何も無かったようにリビングに向かうと良平がソファーに座っていた。
木村良平
木村良平
おかえり。
あなた

ただいま。
どうしたの?
仕事は?

荷物を置くと、キッチンに向かい冷蔵庫から飲み物を出した。
木村良平
木村良平
昼から。
お前は?
あなた

今日はオフ。

木村良平
木村良平
そう。
あなた

良平もなんか飲む?

良平の分の飲み物を用意しようと、また冷蔵庫を開けるといつの間にか後ろに来ていた良平が冷蔵庫を閉じた。
木村良平
木村良平
いつまで顔合わせないつもり?
背中越しでも良平の声で怒ってるのがわかった。
あなた

なんの事?

あなたは振り向き良平の顔を見た。
木村良平
木村良平
部屋に入って来てから、今まで俺の顔見なかったじゃん。
あなた

気の所為でしょ?

木村良平
木村良平
今まで浪川さんと居たの?
今送ってもらってただろ?
電話でも浪川さんの声きこえたし。
嘘ついてたの?
あなた

嘘ついてたのは謝る。
ごめん。
でも、浪川さんとは何も無い。

木村良平
木村良平
元彼と1晩いて何も無い。
あなた

私と浪川さん信用出来ないの?

木村良平
木村良平
2人して嘘ついて!
信用出来るかよ!
あなた

…………。
わかった……。

あなたは鞄を漁り、良平の鍵を渡した。
木村良平
木村良平
は?
なにそれ。
良平は自分の家の鍵を渡され、あなたに返した。
あなた

浪川さんとは何にもない。
でも……良平は私の事信じてくれないんでしょ?
信じてくれない人とは…………もぅ一緒に居られない……。

今度は良平から貰ったピアスも外し、鍵と一緒に良平に渡した。
木村良平
木村良平
……。
それがお前の答えか?
あなたは黙って頷くと、良平は自分の荷物を持った。
木村良平
木村良平
お邪魔しました。
良平は机にあなたの合鍵を置いて、出て行った。

玄関のドアが閉まる音がするとあなたは手で顔を抑えながら座り込んだ。
あなた

ごめん……。
良平……。
ごめんなさい……。

これで良かったんだ。
これ以上付き合ってたら、良平にも何か起きてしまう。

あなたは自分に言い聞かせた。

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