第59話

破壊力

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2020/09/05 10:28

今日は地方でアニメのイベントの前乗り。
浪川は仕事の為、ホテルに着いたのが深夜近くになってしまった。

浪川大輔

あー。
早く寝たい……。

駐車場からホテルの入口に向かおうとした時に話し声が聞こえた。

木村良平

あ、浪川さん。
おはよう。

柿原徹也

あ！
浪川さんだぁ！

駐車場横に用意されてある机と椅子に良平と柿原が座っていた。

浪川大輔

え……。
お前ら何してんの？

柿原徹也

浪川さんも飲も！
夜風が気持ちよくてさ！

浪川大輔

いゃ、座るとこないじゃん。

柿原徹也

ここ座りなって！

柿原が椅子から退くのを見ると「じゃ、少しだけ」と浪川は座った。

柿原徹也

浪川さん、お疲れ！

木村良平

はい。浪川さんは酎ハイでいい？

浪川大輔

ありがとう。

浪川はお酒を貰う飲み始めた。
横を見ると柿原が浪川のキャリーケースを椅子にしていた。

浪川大輔

他のみんなは？

木村良平

部屋かな。
俺達は話してたら盛り上がっちゃって。

浪川大輔

あなたも？

柿原徹也

あれ？
あなたちゃん……まだじゃない？

木村良平

そろそろだと思うんだけどな。

あなた

……………………。

そんな話をしているとあなたが小走りで横を通り過ぎた。

木村良平

待て待て待て待て！

あなた

バレたか…………。

良平はあなたの腕を掴んだ。

柿原徹也

なんで逃げるのさぁ。

あなた

完全に話しかけちゃいけないやつじゃん！
話し掛けたら、参加させられるやつじゃん！

浪川大輔

それ正解。

木村良平

ほらほら。
こっち来る！

良平に引っ張られあなたは良平が座っていた椅子に座った。

良平はあなたのキャリーケースを椅子替わりに座った。

柿原徹也

はい。
あなたちゃんの分！

柿原にお酒を渡され、あなたは溜息をつきながら缶を開けた。

柿原徹也

ねぇねぇ。
イベントで2人いじっていいの？

あなた

！！！

あなたは口にしたお酒にむせ、咳をした。
浪川は苦笑いしながらあなたの背中を摩った。

木村良平

えー。
どうする？

柿原徹也

だって。
公表してるわけだからさぁ！

あなた

浪川さん止めて！

浪川大輔

俺無関係だし。
ちょっと見たいかも。

浪川はニヤニヤしながら言った。

木村良平

あー。
浪川さん、こいつに今冷たくしたら逆効果っすよ。

あなた

生……尊君だぁ！

浪川大輔

尊……？
あぁ。
乙女ゲームの。

木村良平

こいつ最近あの乙女ゲームずっとやってるのよ。

柿原徹也

え！
あなたちゃん。
俺が出でるのは？

あなた

かっきーさんのはシン好き。

柿原徹也

マジで！
ありがとう!!

浪川大輔

あのゲーム良平も出てるじゃん。

木村良平

俺のは期待してたのと違うんだって。

あなた

あのゲームは尊君が1番いい。

浪川大輔

おい、バカ猫。

あなた

!!!!

柿原徹也

あなたちゃんは、ちょっと俺様系が好きなの？

木村良平

あ、それなら。
エム猫ちゃん。

あなた

コウ君！

柿原徹也

俺も俺も！
お前……バカなの？

あなた

シン！
お耳が幸せ…………。

浪川大輔

あ、もぅこんな時間。

柿原徹也

流石に寝ないとやばいね

木村良平

今日はお開きにしようか。

あなた

うん。
いゃー。
やっぱ3人は凄いね！
見習わなきゃ。

次の日のイベントでは。

あなた

お前には……俺がいるだろ……バカ……。

？？

きゃああああああ！

男子キャラをやってるあなたが朗読劇でセリフを言うと客席から悲鳴が上がった。

浪川大輔

(こいつのバカの破壊力！)

木村良平

(これの為に乙女ゲームやり込んでたのか……)

柿原徹也

(俺達より歓声凄いんですが……)

「お前の方が凄いから！」
っと、3人が同じ事を思った。

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第60話そのうち。

七虹

コンテスト受賞作品

グランプリ

好きになるのはキミ限定【完結】

なぁな

編集部コメント

主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした！<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。