第20話

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2021/10/17 12:00










「 どうして泣いてるの 、 何かあったの ? 」















溢れる涙を拭おうと 、 私の頬に触れるシャオの手 。暖かくて大きくて 、 もう二度とこの手に触れられなくなるなんて考えるとまた涙が零れる 。
言いたいよ 、 本当のこと 。
だけど言えない 、 貴方の事を考えると 。















『 何でもないよ 、 本当だよ 。』


「 嘘だ 、 あなたは嘘をつく時 、

僕から目を逸らす 。」


『 ほんとに 、 大丈夫だから 』


「 放っておくわけないじゃん 」















『 ねぇ 、 別れよ 、( 泣 』


『 私といても幸せになれないからさ( 泣 』


『 お願い … 、 シャオジュン … 』















気づけばシャオも泣いていた 。
情けないなぁ 、 ただでさえ意気地無しなのに 、 ㅎ
貴方が泣いたら私も悲しくなるじゃん 、
私が泣かしてるみたいじゃん 、
お願いだから泣かないでよ 、 っ















「 嫌だよ 、 そんなのやだ 、( 泣 」


「 あなたから離れるもんか 、 っ( 泣 」












シャオは私を強く抱き締めた 。
彼の涙が落ちて私の肩を濡らした 。
あぁ 、 愛する人を泣かすなんて私はとんだ馬鹿だ 、 最低だ 。
ごめんね 、 ごめんねシャオジュン 。



どうかこんな私を許して 、
私が貴方を忘れる前に 、 貴方が私を忘れてよ 。












「 あなたに何があっても 、 」


「 僕は一生あなたの彼氏 、 」


「 だから秘密なんて無しにしよう 、 ? 」












彼が鼻を啜る音と彼の声と私の嗚咽が響くこの部屋で彼はまた 、 もう一度私に語り掛ける 。
愛してるから 、 ずっと一緒だから 、 そうやって。
うん 、 そうだね 。ずっと一緒だね 、 って返してあげたいけど 、 必死にその言葉を押し殺すしか今の私には出来なかった 。















『 忘れちゃうんだよ 、 全部全部 、 ッ 』


『 全部忘れちゃう病気なの 、 !! 』


『 シャオとの思い出も 、

シャオの匂いも 、

シャオ自体も 、 何もかも 、 !! 』


『 そんなのシャオを傷つけるだけじゃん 、 ッ 』













『 だから … っ 、 !! 』












「 馬鹿 !! 馬鹿馬鹿 !! あなたの馬鹿 っ !! 」















鼻声でそう叫ぶシャオ 。
私は何がなんだかわからない 。
シャオが声を荒げている姿なんて見たことがなかったから 。
その時だけは 、 凄く男らしかった 。















「 忘れちゃうのはそりゃ悲しいし辛い 、 」


「 でもね 、 僕にとってはあなたと

離れる事が一番辛いんだよ 、 っ 、 !! 」


「 だから 、 だから 、 っ 」















「 何処にも行かないでよ … 、 ッ 」













私は一番大切なことに気づけていなかった 。
何が愛する人を一番傷つけるのか 、
私達にとって何が一番大切なのか 。
シャオのお陰でようやく分かった 。

これでいいんだよね 、 シャオジュン 。












『 ほんとに … いいの … 』


「 いいの 、 あなたとじゃないとやなの 」




















消えていった色が 、 再び元に戻ってきた 。
鮮やかにまた色付き始めた 。
今までの思い出を呼び戻すかのように 。








































































その日から 、 病気の進行は早くなった 。














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