夏祭り3日前
私たちのクラスでは、わたあめ、射的、コスプレ屋を出店する。
コスプレ屋っていうのはお客さんに頼まれた姿にアレンジするというやつだ。
例えば、ヘアーアレンジを頼まれたら、やるみたいな感じ。
頼んでおいた浴衣というのは、もしコスプレ屋で、
浴衣姿にして欲しいと言われた時用に、
クラスメイトの着物屋を経営している人に浴衣を貸してもらう予定だった。
私たちの学校では祭りの3日前から泊まりがけで作業を行ってよい。
時間のかけて良いものを作るためだ。
私はスマホと財布を持って、学校の外に出た。
クラスメイトのお店がダメなら、他をあたるしかない。
少し歩いた所にある、着物屋に到着。
貸してくれるといいんだけど…
色んなところに行くもどこも断られてしまった…。
どうしたらいいんだろう?
一方、学校では
色んなところを回り続けていたら、いつの間にか、
19:00になっていた。
結局、どこも貸してはくれず、どうしたらいいのか
パニックになりそうだった。
一気に力が抜けて、道路に座り込む。
なにがなんだか、わかんなくなって、涙が出てくる。
そう呼ぶのは、私の救世主だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!