正直焦っていたかもしれない。
あの夏祭りの日、星野に落とすと言われてから、
ずっと気になっていた。
いや、それよりも前からかもしれない。
無邪気に笑う顔、人のために動いて頑張る顔、失敗して泣く顔、
照れて赤くなる顔…
どんな顔も見てきた
だから、俺はもうとっくに落とされていたんや…
星野を誰かに取られる前に、俺は攻めることを決めた。
星野との距離は今までで、1番近いかもしれない。
バクバクと心臓がうるさい。
夏だから、鳴き続けるセミもうるさい。
少し泣きそうなのか、後ろを向いたまま、自販機を見続けている。
怒って、こっちを向いた顔をむぎゅっと手でおおう。
少し拗ねた顔が可愛くて、俺の理性は崩壊しそう。
後ろは自販機、前は俺、
完全に逃げられない星野は上目遣いで、俺を睨み続ける。
そのまま、壁ドンをして、星野の耳元でささやく。
こうして、あっさりと俺のモノになった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。